2009年4月アーカイブ

メタボリックシンドロームや動脈硬化など多因子の疾患の解明は21世紀の生物医学の大きな課題となっています。肥満を基盤としたメタボリックシンドロームでは、生理機能の破綻した脂肪細胞が原因で、糖尿病、動脈硬化などが発症するというメカニズムが注目されており、脂肪細胞の分化に関わるシステムの動作原理の解明が求められています。
 
近年、細胞の分化に於いては遺伝子発現や遺伝子配列情報に加え、ヒストン修飾によるクロマチンの変化と遺伝子発現への理解も重要となっています。DNA塩基配列以外のDNAのメチル化とヒストン修飾で維持・伝達される遺伝情報はエピゲノムともよばれ、これらの修飾の違いにより、同一のゲノムを有しながらも200種類の異なった細胞に分化します。それらの修飾は、外来刺激・環境の変化により変動し、様々な生命現象に関与することが示唆されつつあります。皮膚の細胞からiPS細胞が作り出せるのも、遺伝子操作でエピゲノムを変えることが重要と考えられます。
 
脂肪細胞の分化においては、Peroxisome proliferator-activated receptor γ(PPARγ)とよばれる核内受容体型のリガンド応答性の転写因子が、マスターレギュレーターとも言われ、脂肪合成、脂肪取り込みなど、脂肪細胞の特徴をもたらす多くの遺伝子の転写制御をになうことが知られていました。PPARγの活性化剤はまた、インスリン抵抗性の改善薬として糖尿病の治療に広く用いられています。一方、細胞外分泌蛋白であるWntは細胞を未分化状態にとどめ、脂肪細胞分化では強力な抑制因子として機能します。これらのシグナルは分化と未分化を決定します。しかし核内受容体PPARγやWnt刺激などの刺激に伴うヒストン修飾によるクロマチンの変化はほとんど明らかにされていません。
 
このたび、国立大学法人東京大学先端科学技術研究センター(東京都目黒区、宮野健次郎所長)の油谷浩幸教授、酒井寿郎特任教授らの研究グループによって、PPARγがエピゲノム制御に大変重要であることが解明されました。
 
同研究グループはヒトの肥満・生活習慣病に代表される代謝疾患において、エピゲノムが制御するメカニズムの存在の可能性を見いだし、この仮説を検証するため、PPARγの標的遺伝子のゲノムワイド解析(ChIP on Chip)またWntの核内エフェクター蛋白となるβカテニンのChIP on Chipを行い(アメリカ学士院会報誌 2009 Mar23に掲載)、PPARγが複数のヒストンメチル化酵素遺伝子を標的とし、エピゲノム制御に関与することを明らかにしました。 PPARγの標的遺伝子のChIP on Chip解析からは、1200個以上のPPARγの直接の標的遺伝子を同定し、その中から今回新たに、ヒストンのメチル化修飾を行う酵素の遺伝子発現を制御することを明らかにしました。
 
我々ヒトの細胞では、DNAは8分子のヒストンタンパク質にまきついて、ヌクレオソームという構造をつくります。ヒストンはアミノ酸がメチル化されるなどの修飾をうけ、複製の時にこのヒストン修飾も複製されます。ヒストンH3の9番目のアミノ酸リジン(H3K9と略される)がメチル化されるとサイレンシングに働き、ヒストンH4の20番目のリジン(H4K20と略される)のメチル化は、活性化にもサイレンシングにも働きます。 
 
標的遺伝子のゲノムワイド解析の結果、PPARγによってヒストンH3の9番目のリジン(H3K9)のメチル化酵素は転写レベルで負に、ヒストンH4の20番目のリジン(H4K20)のモノメチル化酵素PR-Set7/Setd8は正に制御される標的遺伝子であることを見いだしました。さらに、細胞の中でこれらの遺伝子の発現を抑制させるRNAi干渉の実験から、H3K9トリメチル修飾は脂肪細胞分化抑制に、そしてH4K20モノメチル化は分化促進に働くことを明らかとしました。
 
これらの知見はPPARγがこれらヒストン修飾酵素遺伝子の発現を制御し、脂肪細胞の分化をエピゲノムの角度から制御するという新たな制御系を示し、脂肪細胞分化におけるエピゲノムの重要性を示したものです。
 
肥満を始めとする生活習慣病は多遺伝子疾患であり、環境因子との関わりもまた大きな要因です。こと、生活習慣病は環境により体質が変わるという考え方に基づいています。これまでの研究では遺伝子の塩基配列の変異が病気のなりやすさを決定すると考えられて研究がすすめられてきましたが、特にエピゲノムという考え方により、栄養が体質を変えるという新たな考え方がもたらされつつあります。PPARγの下流に、脂肪細胞分化において重要な2つのエピゲノム修飾酵素が発見されたことで今後糖尿病や肥満の治療への重要性も明らかにされていくことが期待されています。
 
Wakabayashi K, Okamura M, Tsutsumi S, Nishikawa N, Tanaka T, Sakakibara I, Ihara S, Hashimoto Y, Hamakubo T, Kodama T, Aburatani H, Sakai J.
PPARγ/RXRα Heterodimer Targets Genes of Histone Modification Enzymes Setd8 and Regulates Adipogenesis through a Positive Feed-Back Mechanism
Mol Cell Biol

Okamura M, Kudo H, Wakabayashi K, Tanaka T, Nonaka A, Uchida A, Tsutsumi S, Sakakibara I, Naito M, Osborne TF, Hamakubo T, Ito S, Aburatani H, Yanagisawa M, Kodama T, Sakai J.
COUP-TFII acts downstream of Wnt/βcatenin signal to silence PPARγ gene expression and repress adipogenesis.
Proc Natl Acad Sci U S A. 106, 5819-5824.

WSTFによるTyr142のリン酸化

昨日の油谷先生の質問されたコンスティテューティブにリン酸化されているH2AX142のリン酸化のAllisらの論文を紹介します。

 

H2AXのC末端にまつわる新たな知見:WSTFによるTyr142のリン酸化
WSTF regulates the H2A.X DNA damage response via a novel tyrosine kinase activity.
Xiao, A., Li, H., Shechter, D., Ahn, S.H., Fabrizio, L.A., Erdjument-Bromage, H., Ishibe-Murakami, S., Wang, B., Tempst, P., Hofmann, K., Patel, D.J., Elledge, S.J. and Allis, C.D. Nature 457, 57-62 (2009)

 ヒストンH2Aのバリアントの1つであるH2AXはC末端に約20アミノ酸の特徴的な配列を持つ。この中でC末端から4番目に当たるSer139 がDNA損傷に応答してATM、ATRあるいはDNA-PKcsによってリン酸化を受けることが知られ、10年来DNA損傷マーカーとして頻用されている。また、このSer139がリン酸化されると、MDC1をはじめとした DNA修復、細胞周期チェックポイント関連分子が集積してくることが知られている。しかし、Ser139およびリン酸化コンセンサス配列を規定する Gln140に加え、最もC末端にあるTyr142も保存されている (下)。
ヒト、マウスなど: SQEY
ショウジョウバエ:SQAY
ツメガエル:SQEY/SQEF
出芽酵母:SQEL
このTyr142については、リン酸化されたSer139とともにMDC1との結合に重要であることが示されている。しかし、それだけか?

 本論文は、このTyr142がリン酸化を受ける可能性を検討することから始まっている。まず、常法に従い、H2AXのTyr142に対するリン酸化状態特異的抗体を作製し、Western blottingにより、この部位がin vivoでリン酸化されていることを確かめた。 Tyr142のリン酸化はSer139のリン酸化とは対照的で、非照射細胞でも見られ、放射線照射後に時間とともに減少した。
このTyr142をリン酸化する酵素は何か? 著者らは、まずH2AXの結合分子の探索を行った。材料としては、H2AXノックアウトマウスの線維芽細胞に正常および Tyr142をPheに代えたH2AXを導入した細胞を用いた。この細胞を核抽出した後の残渣をMicrococcal Nucleaseで処理してヌクレオソームを可溶性画分に移行させ、免疫沈降により、H2AXと結合分子群とともに単離した。この画分で顕著に見られた 170kDaと140kDaのバンドについて質量分析を行うと、WSTF (Williams-Beuren syndrome transcription factor; 別名BAZ1B)とSNF2H (別名SMARCA5)であった。これらは、クロマチン・リモデリングに関わると考えられているWICH複合体(WSTF-ISWI ATP-dependent chromatin-remodeling complex)の成分である。なお、他のISWI成分であるCHRAC15、CHRAC17などとH2AXの結合は認められなかった。次に、WSTFに対するshRNA (short hairpin RNA)を発現する細胞(WSTFノックダウン細胞)を作製したところ、H2AX Tyr142リン酸化の減少が見られた。そこで、昆虫細胞を用いてWSTFを発現、精製したところ、Mn2+イオン存在下でTyr142リン酸化活性が認められた。WSTFは既知のタンパク質リン酸化酵素とは全く相同性を示さないが、N末端の345アミノ酸の領域にチロシンリン酸化活性を有することが明らかになった。その中で、Cys338が活性に必要であることが分かった。
WSTFによるH2AX制御の生理的意義は何か? 放射線照射後の H2AXのSer139のリン酸化をまずWestern Blottingで調べたところ、コントロール細胞では16時間までリン酸化はほとんど減少しなかったが、WSTFノックダウン細胞では1時間をピークに急激に減少した。蛍光免疫染色法で観察すると、コントロール細胞では、最初に多数の小さなフォーカスができ、その後、少数の大きなフォーカスになっていくが、WSTFノックダウン細胞では、最初の小さなフォーカスはできるが、それから大きくならず、消失していく。WSTFノックダウン細胞では、また、 MDC1やSer1981リン酸化ATMのフォーカスが顕著に減少していた。更に、WSTFノックダウン細胞にWSTFのキナーゼドメインを発現させると Ser1981リン酸化ATMのフォーカス形成が回復したが、リン酸化活性を欠損する(Cys338をAlaに置換した)変異体では回復しなかった。これらのことから、WSTFによるH2AXのTyr142のリン酸化が、MDC1、ATMを介したSer139のリン酸化状態の維持に重要であることが示された。

 この論文は2つの大きな新しい成果をもたらした。一つは、真核生物、特に高等動物で高度に保存されているH2AXのTyr142の新しい存在意義を見いだしたこと、もう一つは、既知のものと全く相同性を有しない新しいタイプのチロシンキナーゼを見いだしたことである。それと同時に、新しい問題も提示した。一つ目に関しては、Tyr142のリン酸化の意義について更なる詳細な解析が待たれる。Tyr142のリン酸化は、Ser139のリン酸化とは逆に、DNA損傷に応答して減少する。平常時にこそリン酸化されていることにどういう意味があるのか? それでなぜSer139のリン酸化が起こりやすくなるのか? また、脱リン酸化はどのようにして起こるか? その意義は何か? そして、二つ目に関しては、WSTFにはH2AX以外の基質があるか? また、現在、ヒトゲノム中に500余種類のプロテインキナーゼが存在することが知られているが、ひょっとするとその数が幾分、あるいは大幅に増えることがあるかも知れない。

(児玉)
Tyrosine dephosphorylation of H2AX modulates apoptosis and survival decisions.

Peter J. Cook, Bong Gun Ju, Francesca Telese, Xiangting Wang, Christopher K. Glass & Michael G. Rosenfeld

Nature 458, 591-596 (2 April 2009)

 

Cookらは、ほ乳類胎児の腎組織において protein tyrosine phosphatase のEya (Eye-absent)-1 及び -3 がIR stress を受けた際の細胞の2つの選択(apoptosis と遺伝子修復による生存)のうち、高効率なDNA 修復の促進に寄与していることを明らかにしている。

Phoshatase である Eya-1/-3 がヒストンcomplex の一つ H2AX のC末端のリン酸化tyrosine (Y142) を損傷シグナルに応じて脱リン酸化することで、修復酵素 (MDC1, MRN complex) のH2AX への結合を促進し、逆に Fe65/JNK1 のH2AX への結合を阻害する(Y142 が脱リン酸化されるとJNK1が結合できない)ことで積極的に遺伝子修復の方向へ向かわせていることがその作用機構である。

Eya 欠損により、腎組織及び眼の異常apoptosis が生じることから、in vitro の系として HEK293T を使用している。IRstress を受けた際の核内でのapoptosis か遺伝子修復を介した生存かの選択制御が Eya phosphatase と4量体ヒストンの一部 H2AX によって決まっていることを生化学的に証明している。General に細胞全てに当てはまるかは不明。

 

Fig. 1: EYA 欠損でTUNEL  positive のapoptotic 細胞が増えている (A, developing kidney, B, renal tube). HEK でsiRNA-Eya1 およびsiRNA to Eya3 処理し、低酸素におくことによってapoptosis 細胞が増加。

 

Fig.2: Flag-H2AX とHA-EYA1 や HA-EYA3 が IR 刺激のあとで相互作用している(A)。内因性での H2AX (IR 刺激でS139 がリン酸化された H2AX,gamma-H2AX) と Eya3 との相互作用(B)。sonicate した chromatin 状態でも互いの相互作用が認められる(C)。免疫染色での H2AX と Eya1/3 の共局在(D)

 

Fig.3: Eya はDNA-damage 依存性のkinase (ATM/ATR) によってリン酸化されることで H2AX と結合しうる。

A, IR 刺激下、ATM-リン酸化特異的Eya-3 抗体でもってEya-3 が検出されている。B, ATM-kinase 阻害剤のcaffeine を加えると、 IR 依存的な H2AX と Eya の相互作用が阻害されている。C, Eya3 のATM によってリン酸化される部位 (S219) をS219  to A にしておくと、H2AX との共局在が認められない。D,そのことを co-immunoprecipitation で証明。E, IR 刺激前からも Eya-1/-3 はcomplex 形成している。

 

Fig.4: A, IR 刺激、DNA トポイソメラーゼ阻害剤 (camtothesin, CPT)、hypoxia ショックによって H2AX のtyrosine リン酸化量が減少している。B, 組み換え精製 Eya-1 /-3 によって H2AX のtyrosine リン酸化は低下するが、phosphatase 活性を消失した mutant (Eya1, D323A; Eya3, D246A) ではその低下活性が認められない。C, H2AX のIR によるtyrosine リン酸化量減少はEya-1 あるいは Eya-3 のSiRNA ないしはEya-1/-3 両方に対する siRNA を処理することで消失する。D, Eya-3 siRNA によるIR 依存性 H2AX のphospho-tyrosine 減少の阻害効果は組み換え型 Eya3 の添加で相殺されるが、 phosphatase 欠損のEya3 の添加では相殺されない。E, H2AX のEya-1/-3 のtarget tyrosine 脱リン酸化部位はY142 である。F,  Eya-3 のC末ドメイン WT では H2AX の Phospho-tyrosine を含む C末ペプチドの脱リン酸化を行うが H2AX のPhospho-serine では活性を示さない。 Eya-3 C末の酵素機能欠損では H2AX のいずれのC 末ペプチドに対しても効果を示さない。

 

Fig. 5: A, 今度は H2AX の Eya-1/-3 の基質となるY142 を F に換えたmutant では IR ストレス時での gamma-H2AX (H2AX のS139 リン酸化型)が生じる率が WT に比べ減少した。B,(一番の key となる図) 293T 細胞核抽出液を H2AX のphospho-S-Y あるいは phospho-S-phospho-Y のペプチドを吸着させたビーズで吸着反応をさせたところ、Eya-1/3 でもって脱リン酸化された状態をmimic した phospho-S-Y では修復酵素がくっつくが、Yがリン酸化された状態のままだと、apoptosis 誘導性 JNK1 がくっつく。C, 強制発現 H2AX WT では内因性 JNK1 が相互作用するが、 H2AX Y142F ではその結合が大きく減少した。D, H2AX のaffinity chromatography で とれたSH2 あるいは PTB ドメインをもつ核内タンパクを supplemental Table1 で示しているが、有意な Fe65 が強制発現 H2AX の co-IP 実験でも結合していることを示している。E,  JNK1 と Fe65 が内因性でも結合しうることを示したもの。F, IR ストレス下、Fe65 がないと H2AX に JNK1 が結合できないことを示したもの。G, IR ストレス時でも Y142F mutant だと効率的な apoptosis が生じないことを TUNEL staining で示したもの。H,これまでのデータのモデル図。

(南)
Comprehensive Characterization of Genes Required for Protein Folding in the Endoplasmic Reticulum.

Martin et al., Science 2009

 

【要約】

小胞体におけるタンパク質のフォールディングの異常は、老化や疾患との関連が示唆されているが、詳細はわかっていない。変異体ライブラリーを利用することによって、彼らは、小胞体におけるタンパク質のフォールディングに関与する数百の酵母のタンパク質を同定した。

 

【小胞体ストレス】タンパク質の高次構造形成や品質管理は小胞体が担っている。例えば、分泌タンパク質や膜貫通型タンパク質は小胞体によって、フォールディングが整えられる。ここでは、BiPをはじめとする分子シャペロンやフォールディング酵素(ジスルフィド結合や糖鎖付加を触媒する)により、新生タンパク質は極めて効率よく折り畳まれている。高次構造形成に失敗したタンパク質は、小胞体関連タンパク質分解機構(endoplasmic reticulum-associated degradation: ERAD)によって、小胞体から細胞質へ送り出され、ユビキチン・プロテアソーム経路で分解を受ける。

小胞体ストレスは、小胞体がつかさどる「折り畳み」と「分解」のバランスに変化が生じる現象である。

・ 環境要因的なストレス

・ 遺伝学的変異による高次構造が不安定なタンパク質の生成による

・ タンパク質合成の異常な亢進

哺乳類動物細胞では、3つの小胞体ストレスセンサー(PERK、ATF6、IRE1)がユビキタスに発現している。出芽酵母ではIRE1のみによって小胞体ストレスを感知している。

 

【タンパク質のフォールディングが関与する疾患】

・ 糖尿病(PERKの変異→新生児糖尿病であるWolcott-Rallison症候群の原因)

・ アルツハイマー病(PS1の変異によって、小胞体ストレス応答が低下)

・ パーキンソン病(この疾患で欠失が見つかったParkinはERADにおいてミスフォールディングれたタンパク質をユビキチン化する)

・ マクロファージの細胞死(LPS刺激時に産生されるフリーのコレステロールが小胞体ストレスになる)

 

【UPR(Unfolded protein response)の活性化】

tunicamycin(糖鎖付加の阻害)、thapsigargin(TAPaseの阻害を介して小胞体内カルシウム濃度を低下させる。小胞体シャペロンはカルシウム結合性タンパク質のため、低カルシウム濃度で折り畳み介助能力が低下する)、DTTなどの還元剤(ジスルフィド結合形成を阻害)

 

この論文では、細胞が本来兼ね備えているタンパク質のフォールディングをセンシングするメカニズムを利用したアッセイを利用している。

Ire1pは分泌タンパク質のマチュレーションに重要な役割を果たす膜タンパク質である。ミスフォールディング状態のタンパク質をセンシングして、転写因子Hac1p(ヒトではATF, XBP1)を活性化する。

 

【システムの説明】

用いた酵母は、変異体をライブラリー化した約4500株。系がワークしていることをDTTによるURPで確認した。GFP/RFPの比はDTTの添加によって大きくなるのがわかる(Fig.1B)。URPの検出はHac1pに応答するレポーターシステムを用いた(Fig.1A)。

・ Hac1pで活性化されるプロモーター(4XUPRE)で制御されるGFP

・ 恒常的に活性化されているプロモータ(TEF2)の下にRFP

 

【URPの応答があった変異体】

URPによって発現亢進したものが399変異体、発現抑制したものが334変異体あった。ChaperonやERAD、traffickingに関わる因子の他に、機能不明なもの(other function, poorly characterized)でURPが多く見られた(Fig1C)。特にURP応答の大きいものは機能不明であった。これらの遺伝子は、URPで発現が変化する遺伝子群と一致していない(Cell, 2000; ref.7)。局在はERやゴルジ体のものが多かった(Fig S3)。

 

【変異体の機能解析】

340の変異体を掛け合わせて60,000以上の「ダブル変異体」の増殖などのフェノタイプを用いて、機能の推測を行った。ダブル変異体を使った解析の有用性を確認するために行った実験(Fig2A)。X軸はシングル変異体のGFP/RFP。Y軸はターゲットの変異体に加えΔhac1になっているダブル変異体。Y=Xの直線上に乗るようなダブル変異体は変異のある二つの遺伝子が同じパスウェイにあることが示唆される。

・ ΔIREのみでGFP/RFPが低くなり、ΔHACも加わっても変化しない(=IREとHAC1は同じパスウェイにのっている)

・ N結合型糖鎖を修飾する酵素群(Fig2B)のダブル変異体も同じパスウェイの遺伝子(Δdie2)の変異による影響を変化させない(Fig2C)。

・ 恒常的にフォールディングの異常を示すKWSを過剰発現させ、GFP/RFPの変化を見た。KWSはSsm4p/Doa10p(E3 ligase)やUbc7p and Cue1p(E2 ligase complex)の経路を介して分解を受ける。これらの変異体はGFP/RFPの値を大きくする。ΔHrd1やΔhrd3といった他のE3 ligase変異体は変化しない(Fig2C)

 

彼らはπスコアと呼ばれる値を算出している。この値は、ダブル変異体のGFP/RFP値が、シングル変異体のそれとどれだけ離れているかを示すものである(Fig3A)。πスコアを用いた階層的クラスタリングでは、100以上の機能既知の遺伝子が同じグループに属していた(Fig3B)。このようにダブル変異体の解析で、YOS9、DER1、USA1の機能はHRD3に依存することが明らかになった。このようにこの解析では213遺伝子の500以上の上下の関係を明らかにした。例えば、YDR161Wの機能は、新生ペプチドに結合する複合体と関連があることが示唆された。

 

この方法で、新しい機能を同定したものにYCL045C, YJR088C, YKL207W, YGL231C, KRE27, YLL014Wがある。これらは、同じクラスターを形成し(Fig4B)、免疫共沈降される(Fig4C)。彼らは、この6つの遺伝子をthe ER membrane protein complex (EMC)と名付けたが、EMC1-6は、既知の遺伝子の機能の中でもKWSやsec61-2pの強制発現で誘導されるミスフォールディングに関係する遺伝子群に近かった。Yer140wp, Slp1pといった機能未知の遺伝子もEMC1-6に関係した機能があることが示唆された。

 

Yor164c/Get4pとMdy2/Tma24/Get5pが、エキソサイトーシスに関与するSNAREタンパク質も属するTail-anchored proteinの機能(膜貫通タンパク質のC末端のトポロジーを制御)と関連があることが示唆された。このトポロジーの制御はGET1-3によるGET経路で行われているが、Yor164c/Get4pとMdy2/Tma24/Get5pもGETクラスターに所属していた。Mdy2/Tma24/Get5pの変異体は、他のGETファミリーとのダブル変異体によってGFP/RFPの値に変化はなかった。機能解析や局在解析でも、Mdy2/Tma24/Get5ptoとGet1-3の関係が明らかとなり(Fig5B-C)、Get4やMdy2/Tma24/Get5pとGet3が相互作用していることが認められた(Fig5D)。

(渡辺亮)
Ezh2 Orchestrates Gene Expression for the Stepwise Differentiation of Tissue-Specific Stem Cells

Elena Ezhkova1, et al.

1Howard Hughes Medical Institute, Laboratory of Mammalian Cell Biology and Development, The Rockefeller University, New York, NY 10065, USA

【要旨】ポリコームはES細胞において分化のキーレギュレーターである。一方で各組織に存在する多分化能を有する前駆細胞においての働きはよく知られていない。今回の研究ではマウスの皮膚を用いてポリコームのコンポーネントであるEzh2が皮膚前駆細胞において果たす役割を解析した。Ezh2は胎生期のマウスの皮膚前駆細胞に多く発現し、より分化が進むにつれて、あるいは生後増殖がゆるやかになるにつれて減少していた。さらに詳しく見ると、Ezh2は細胞増殖においてはInk4A-Ink4B locusのヒストン修飾を変化させて細胞増殖を調節し、また分化においては分化に必要な遺伝子のヒストン修飾を変化させて転写因子AP-1の結合を調節することで遺伝子発現を調節していた。このことからポリコームはES細胞だけでなく組織特異的な幹細胞においても幹細胞の自己複製能の維持と空間的・時間的な分化の調節に重要な働きをしていることが示唆された。

 

Figure.1 A. Basal layerではSuprabasal layerと比べてポリコームの発現が亢進している。B-F. 蛍光顕微鏡で見るとEzh2はBasal layerに多く発現しており、加齢とともにその発現割合や細胞増殖は減少している。G. Caで分化誘導するとポリコームの発現は低下した。H. 分化誘導によってEzh2タンパク発現も低下していた。I-J. Ezh2は核内に局在している。

Figure.2 胎児のBasal progenitor cellを用いてChIP-PCRを行って組織特異的に発現する遺伝子locusのH3K27me3をみた。分化早期に見られる遺伝子にはK27me3の濃縮は見られなかったが、分化後期に見られる遺伝子や他の組織特異的に発現する遺伝子にはK27me3の濃縮を認めた。

Figure.3 A-C. Basal cellでEzh2をノックアウトするとEzh2, K27me3の発現低下を認めた。D-F. ノックアウトされた細胞では細胞増殖の低下も認めた。G-L. 培養したところノックアウトされた細胞はより大きく平坦な形状となりまばらな増殖を示した。さらに培養を続けたところノックアウトされた細胞では増殖が停止した。アポトーシスの割合には差を認めなかったが、細胞周期ではG0-G1期の割合が増え、S期が減っていた。このためInk4A/Bの発現を見たところノックアウトされた細胞で発現亢進が見られた。

Figure.4 A-C. P0でノックアウトマウスの皮膚はより肥厚した角質と顆粒細胞マーカーの発現亢進を認めた。D-H. またE16でもノックアウトマウスでは皮膚バリアーやケラトヒアリン顆粒の早期形成を見た。

Figure.5 A. マイクロアレイではノックアウトマウスのE16 Basal cellはE16WTよりE18WTに似ており早期分化が示唆された。B. 転写因子については変化を認めなかった。C. late differentiation geneにのみ発現変化を認めた。D. EDC(epidermal differentiation complex on mouxe)クラスター E. K27me3,H3のChIPを行った。Late differentiation geneの多くにK27me3の濃縮を確認した。

Figure.6 A. WT Basal cellでLate differentiation geneのH3K4me3の濃縮を見たところ明らかな濃縮はなかった。B. EDC周辺のAP1 consensus binding site C-D. AP-1 protein(cJun, cFos, JunD)は分化とともに発現が亢進する。E. Tanshinone ⅡAでDNAとAP-1の結合を阻害するとAP-1 binding siteを持つLate differentiation geneの発現が低下する。F. cJun/JunDに対するshRNAを行ったところLate differentiation geneの発現低下を見た。G. AP-1の活性を上げるPMAでは低Ca条件下でもLate differentiation geneの発現亢進が見られた。H. Ezh2ノックアウトにshRNA(cJun,JunD)を行ってかつPMA刺激したところ発現回復はほとんど見られなかった。

Figure.7 A-B. Late differentiation geneは分化誘導で発現亢進が起こり、その際にK27me3の濃縮低下が見られる。C. cJunのChIPを行うとEzh2ノックアウトあるいは分化誘導された時にLate differentiation geneに濃縮する。D. Tanshinone ⅡA刺激するとcJunの濃縮が見られなくなった。E. 胎生期の皮膚前駆細胞ではポリコームによるK27me3はAP-1等の転写因子が分化に関連する遺伝子に結合するのを防いでいる。

(佐藤輝)
Evidence for a Bigenic Chromatin Subdomain in Regulation of the Fetal-to-Adult Hemoglobin Switch ,Hugues Beauchemin and Marie Trudel*Institut de Recherches Cliniques de Montréal, Molecular Genetics and Development, Faculte de Medecine de l'Universite de Montreal, Montreal, Quebec, Canada Molecular and Cellular Biology, March 2009, p. 1635-1648, Vol. 29, No. 6

#背景

 ヒトのベータグロビン遺伝子には、5'側からε、Gγ、Aγ、δ、β、の5種類があって発生の各ステージにおいて連続的に使い分けられている。

ε:primitive erythropoiesisの時にyolk sakで。

続いて

Gγ、Aγ:livefer fefinitive erythropoiesisで。

やがてこれらが抑制されて、

δ、 β:成体型。骨髄で。

に置き換わる。βグロビン遺伝子とlocus control region (LCR)の発生各段階における相互作用については、従来それぞれのパーツを含むmini construcst, mini lociとLCRの相互作用として研究されていたが、全てを説明することが難しかったので、βグロビン遺伝子全体とLCRの全てを含むyeast artificial chromosome (YAC)を作りマウスに組み込んでそれぞれの発現調節を観察した。これによって、5つの遺伝子が発生の段階でLCRと相互作用する組み合わせを明らかにしようと試みた。

 

#結果

図1.PBGDAγ-YACマウスの樹立方法

 特にAγのプロモーターの役割を明らかにするためにこれをよく似た性質を持っているporphobilinogen deaminase (PBGD)のプロモータに置換したPBGDAγ-YACを作成して、β-YACマウスと比較した。 (A)はコンストラクト模式図。(B)はYACコンストラクトにPBGD promoterが挿入されていることの確認。(C)はこのYACを組み込んだtransgenic mouseの7系統の比較。

図2.PBGDAγ-YACマウスとβ-YACマウスにおける各種ベータグロビン遺伝子の発現時系列

(A) 二つのマウスでεの発現には変わりなく、e10.5以降低下している。しかしβ-YACマウスではβがe12.5から増加しているのに対して、PBGDAγ-YACマウスではこの立ち上がりが遅れ、Gγ、Aγの発現が高いレベルで遷延している。

(B)δ/βの比率を経時的に見るとβ-YACでは成体時に急激に増加するに対して

PBGDAγ-YACマウスでは、胎生期を通じて比率が低く、成体での増加も見られない。

図3.同上蛋白レベルの時系列変化

胎生期から成体至る各種βグロビン蛋白の発現をワイルド、β-YAC 、PBGDAγ-YAC で比較し(A)、さらにその変動パターンをプロットした(B)。図2と同様にβの立ち上がりが遅れること、GγとAγのe16.5までの抑制が消失し発現が遷延していた。

図4.各種ベータグロビンの発現量と発現分布の確認

成体になったβ-YAC 、PBGDAγ-YACマウスから赤血球を回収して、α2muγ2hu (-HbF) とα2muβ2hu(-HbA)に対する抗体でFACSを行った。PBGDAγ-YACではHbF陽性細胞があって、ヒト型γグロビンの発現が確認された(A)。樹立された7系統のマウスでは、ヒト型γグロビンが85から100%で発現していた(B)。

図5.各種ベータグロビン遺伝子におけるepigenetic変化

e12.5では主に肝造血が起こっているので、二つのPBGDAγ-YACマウスと一つのβ-YACマウスの肝臓から核破砕液を調整してヒストン修飾に対する抗体(H3, H3ac, H4ac, H3K4me2)でChIP-PCR (A)とDNA methylation assay (B)を行った。H3自体の存在はPBGDAγ-YACで37%低下していたものの、H3ac, H3meの修飾の割合はγのpromoter領域でも、PBGDAγの領域でも増加していた。一方βのプロモーター領域に変化はなかった。また、Gγの遠位プロモーターでは変化なかったものの、近位プロモーターではメチル化が低下していた。

図6.各種ベータグロビン遺伝子プロモーター領域とLCRの空間的位置関係

LCRと各種プロモータ領域の3Cを行ったところ、e12.5ではεとLCRの関係はβ-YAC 、PBGDAγ-YACマウスいずれにおいても見られなかったが、PBGDAγ-YACではβ-YAC と比較してGγからPBGDAγのintergeneも含む広い領域との関係が認められた。一方、β-YACでは成体型グロビン遺伝子領域とLCRと関係していた(A)。

さらにPBGDAγ-YACの成体では、LCRと胎児型グロビン領域との関係は維持されたままであった事に加え、成体型グロビン遺伝子領域との近接関係も始まっていた(B)。

 

#結論

β-YACではδグロビンまたはその上流領域、βグロビンまたはその上流領域の一方または両方を使ってLCRに結合することでδとβグロビン遺伝子をLCRにつなぎ止めている。しかし、PBGDAγ-YACマウスではPBGDAγプロモーターが同じようにアンカーポイントとして働きLCRをGγとAγのbigenic cubdomainに動員して占拠させるので、δとβがはじき出されている。さらに成体になってもその移動が遅れる結果、胎児型のGγとAγの発現が遷延し、成体型のδとβの発現が遅れる(図7)。

(和田)

エピゲノム勉強会:論文一覧

Tyrosine dephosphorylation of H2AX modulates apoptosis and survival decisions

Peter J. Cook, Bong Gun Ju, Francesca Telese, Xiangting Wang, Christopher K. Glass & Michael G. Rosenfeld

Nature 458, 591-596 (2 April 2009) | doi:10.1038/nature07849; Received 10 December 2008; Accepted 4 February 2009; Published online 22 February 2009

(南)

 

Comprehensive characterization of genes required for protein folding in the endoplasmic reticulum.

Jonikas MC, Collins SR, Denic V, Oh E, Quan EM, Schmid V, Weibezahn J, Schwappach B, Walter P, Weissman JS, Schuldiner M

Science. 2009 Mar 27;323(5922):1693-7.

(関連論文)

Treasures and traps in genome-wide data sets: case examples from yeast.

Grünenfelder B, Winzeler EA.

Nat Rev Genet. 2002 Sep;3(9):653-61. Review.

(渡辺亮)

 

Ezh2 Orchestrates Gene Expression for the Stepwise Differentiation of Tissue-Specific Stem Cells
Cell Volume 136, Issue 6, 20 March 2009, Pages 1122-1135

(佐藤輝)

 

Evidence for a Bigenic Chromatin Subdomain in Regulation of the Fetal-to-Adult Hemoglobin Switch

Hugues Beauchemin and Marie Trudel

MOLECULAR AND CELLULAR BIOLOGY, Mar. 2009, p. 1635-1648 Vol. 29, No. 6

(和田)

 
Non-coding RNAs in polycomb/*trithorax* regulation.
Hekimoglu B , Ringrose L ,
RNA Biol. 2009 Apr 13;6(2) [Epub ahead of print]. PMID: 19270511

 

PcG: サイレンシング、H3K27メチル化

TrxG: アクチベーション、H3K4メチル化

PcG、TrxGはstem cell, 分化細胞の遺伝子発現パターンの維持に重要な因子であり、クロマチン構造の変化によりターゲット遺伝子のon/offを決めている。最もよく研究されているターゲット遺伝子はHox genesやDrosophila Bithorax complexである。PcG, TrxGが結合するcis elementはPRE/TRE (Polycomb/Trithorax Response Element) と呼ばれ、多くのPRE/TREからnon coding RNAが転写されていることがハエや脊椎動物で明らかとなっており、PcG/TrxGによる制御にはこれらのnon coding RNAが関わることが分かってきた。

 

Fig.1 細胞分化に伴うPcG, TrxGの役割 ES細胞では、H3K27, H3K4の両方がメチル化されている'bivalent'なクロマチンを形成する。細胞運命が決定するとより安定したサイレンス状態(PcG & H3K27Me3、Fig.1B)、活性化状態(TrxG & H3K4Me3、Fig.1C)となり、エピジェニックなマーカーとして細胞分裂を越えて維持される。

PcG はPRC2, PRC1, PHO、MBT複合体であり、SETドメインを持つEZH2(PRC2複合体の構成タンパク)はH3K27をメチル化する。PC(PRC1のタンパク)はクロモドメインを持ちメチル化部位に結合する。TrxGのタンパクでありSETドメインを持つASH1、Trx/MLLはH3K4をメチル化する。

 

Table 1 分化した細胞では多くのPRE/TREからのnon coding RNAがターゲット遺伝子の活性化と相関して発現している(temporally & spatially)。ターゲット遺伝子の発現と逆の発現パターンを示すものもある(correlation to regulated gene参照)。

 

Fig.2 PcG/TrxGはRNAに結合する。In vitro(Italic直接結合), in vivoの実験より。
PcG

Pc/CbxはssRNA, dsRNAに結合する。Ph/Rae28はssRNA, dsRNAに結合する。配列特異的ではない。EZH/EEDはXist RNA(non-coding RNA)に結合する(構造特異的)。EZH2, SUZ12はKcnq1ot1(imprinted geneのnon-coding RNA)と結合。EZH2, SUZ12はXistの5' Repeat A region(RepA)に結合する。SUZ12はHOTAIR(HoxCのnon-coding RNA)と結合。
TrxG

SETドメインがnascent RNAに結合する。ASH1のSETドメインはTRE1, TRE2, TRE3(UbxのPRE/TREから転写されるnon coding RNA)に結合する。MLLはEvx1as, Hoxb5/b6asと結合。

Cbx,ASHなどではRNase処理によりPRE/TREへの結合がなくなることから、RNAがPcG/TrxGのリクルート、固定に関与していると考えれる。

 

Fig.3 non-coding RNAによるPcG/TrxG制御のモデル

A sweeping。転写のプロセス自体が重要で、PcGをPRE/TREから外す。ハエのtransgenic reporter assay(Fab7, bxd,MCPなどのPRE/TRE non-coding RNA)で見られるように、actin promoter-PRE/TREとレポーター遺伝子(mini-white gene)を並べたtransgenicは、赤眼(WT)になるがactin-promoterをつぶすと白眼(mini-white geneのサイレンスが起こる)になることより、PRE/TREが転写されることが重要。他の例では、ハエ、mammalianのHox gene clusterのnon-coding RNAはHox geneよりも早く転写されており、クロマチンをopenにするのに関与していると考えられる。

B  PcG/TrxGが直接nascent RNAに結合する。PcG/TrxGのタンパクがssRNAやnascent RNAに結合することから(Fig.2参照)、nascent RNAにPcG/TrxGがリクルートされて来たり、さらに安定化させる機構があるかもしれない。

C & D 上の2つは転写自体が制御に重要なモデルであるが、C, Dは転写と制御が直接ではないモデルで、RNAが一旦転写されてからPcG/TrxGと結合してRNA-DNA(C), RNA-RNA(D) interactionを介して制御するモデル。例えば、ASH1とnon-coding RNAのbxd (TRE1, TRE2, TRE3 )。Bxdを発現させるだけで、ターゲット遺伝子のUbxの活性化に十分である。また、X染色体、Hox遺伝子への結合におけるnon-coding RNA(Rep A, HOTAIR)もこれに当てはまると考えられる(Fig.2参照)。Non-coding RNAではsense側、antisense側両方転写されるものもあるので、Dのモデルも考えられる。

(堀内)

NEAT1 RNAのparaspeckleの形成における役割

An Architectural Role for a Nuclear Noncoding RNA: NEAT1 RNA Is Essential for the Structure of Paraspeckles

Christine M. Clemson,1,* John N. Hutchinson,2 Sergio A. Sara,4 Alexander W. Ensminger,2,3 Archa H. Fox,4 Andrew Chess,2 and Jeanne B. Lawrence1,*

Molecular Cell. 2009 Mar 27;33(6):717-26. PMID: 19217333

 

概要 

        NEAT1 RNAは、約4kbでpolyAを持ったnoncoding RNAである。その局在は、mRNAの核内に貯留する役割を担っていると考えられているparaspeckleと共局在する約10-20のfoci状の構造を核内に形成して存在する。 NEAT1 RNAのknockdownは、paraspeckleを消失させる。また、paraspeckle局在タンパクであるPSP1とは異なり、NEAT1 RNAの過剰発現は、paraspeckleの増加を引き起こした。 さらに、Paraspeckleの形成は、NEAT1の転写領域から放射状に広がっていく。ParaspeckleにおいてRNAのA-I editingに関与するPSP1やp54/NRBの局在は、それらの分子内にあるRNA結合領域を介してNEAT1によって制御されている。NEAT1 RNAは、その他の核内貯留型non-coding RNAと異なり、A-I editingを受けない。これは、paraspeckleにおいてNEAT1 RNAが構造的な役割を担っていることと一致する。以上の知見は、NEAT1 RNAがparaspeckleの形成に必須の決定因子として機能していることを示すものである。

 

 

イントロ

       Large(数kb) noncoding RNA (ncRNA)の同定が近年増加してきている。例えば、XistなどはX染色体の遺伝子量補正にかかわっているし、NRONは、NFATの核輸送に、HOTAIRは、HOXD領域の抑制に関与している。

        彼らはヒトfibroblast及びLymphoblastの核と細胞質の発現RNAを比較することによって2つのNuclear-enriched autosomal transcript(NEAT) ncRNAを同定していた。NEAT2/MALAT-1 RNAは、8kbでSC-35ドメインに局在するがNEAT1は、4kbのncRNAでSC-35ドメインの辺縁部に局在していた。これまで多くの場合でRNAの分布はその機能を知る上で重要な知見を与えてきた。例えば、Xist RNAの局在は、不活化したX染色体を取り囲むように局在する。今回、NEAT1 RNAの機能を明らかにするために既存の様々な核内構造との関連について検討した結果、NEAT1 RNAは、Interphaseを通じて全ての細胞で見られるparaspeckleと呼ばれる核内ドメインに局在し、その形成に重要な役割を担っていることを見出した。

 

図1 mouse及びhumanの種々の細胞を用いたNEAT1 RNAとParaspeckleの局在検討

(A-D)大半のNEAT1 RNA由来のFociは、PSP1のドット状に集積している部位(Paraspeckle)とmerge.  (E-H)p54/NRBとも同様の傾向.  (I-K)TIG1: human fibroblast(日本人由来).  (L) HT-1080: human fibrosarcoma, (M) 293, (N-P) MEF

 

図2 siRNAによるNEAT1 RNAのknockdownはParaspeckleの消失を引き起こす

(A & B) (A) Control siRNA, (B) siNEAT1,  (B)においてPSP1の局在が核内にdiffuseに広がっている。核質内におけるPSP1の量は増加。

(C) siNEAT1によってp54/NRBの集積は消失する。

(D & E) (D) Control siRNA, (E) siNEAT1, (E)においてp54/ NRBによるfociが消失している。但し、(B)同様、核質におけるp54/NRBの量はControlに対して増加している。

(F) (A-E)を定量化したもの。

図3 NEAT2/MALAT-1に対するsiRNAは、SC-35 domainには影響しない。

(A & B) (A) SC-35 domains, (B) NEAT2 RNAの免疫染色。共にControl siRNA

(C) NEAT2 RNAをknockdownした時のSC-35 domains (Red), NEAT2 RNA (Green)の免疫染色。

(D) NEAT2 RNAをknockdownした時のParaspeckle(PSP1: Green)の免疫染色。

 

図4 NEAT1Fociとして形成されるParaspeckleは、NEAT1 RNAの転写部位から広がっていく

(A) NEAT1 RNA Fociは、NEAT1の遺伝子座より広がっている

(B) Paraspeckle(PSP1)においても同様にNEAT1の遺伝子座より広がっているように見える。

(C & D) G1の初期において2つのNEAT1 FociがNEAT1遺伝子座近傍で観察される(earliest paraspeckle)。その後、G1の進行に伴いNEAT1 Fociは、広がっていく。

(E & F) G1の初期ではearliest paraspeckleにおいてのみparaspeckleタンパクの集積が見られる。

図5 NEAT1の過剰発現はparaspeckleを増加させる。

(A) Control : mockのstable cell line、B4、B5: Controlに対して20%、50%発現亢進stable cell line。B4、B5共にparaspeckleの顕著な増加が見られる。

(B) YFP-PSP1の過剰発現細胞ではparaspeckleの数に変化は見られなかった。

(C-E) NEAT1 RNA及びControlのstable cell lineにおけるPSP1の免疫染色。増加したparaspeckleと思われる大半のNEAT1 FociはPSP1陽性である。NEAT1のstable cell lineにおいて核質にdiffuseに拡散したNEAT1の増加は見られず、Controlでは見られないControl細胞では見られない小さなNEAT1 Fociが観察された。

(F) NEAT1 RNAとYFP-PSP1の共局在。共局在は、paraspeckleで見られる。

 

図6 in vivo及びin vitro両方においてNEAT1 RNAはparaspeckleタンパクと結合する

(A) 各種抗体を用いたIP-qPCR

(B) 各抽出液からのPSP1のimmunodepletion

(C)Nitorocellulose binding assayを用いた結合実験。ヘパリンは強くネガティブにチャージしている為、タンパクなどのポジティブの電荷をカバーし非特異な電荷による核酸の結合をブロックする。Sense NEAT1 RNAはPSP1/p54複合体に特異的に相互作用する。ヘパリン存在下ではSense鎖のみ特異的に結合。GSTに対しては、PSP1/p54複合体との結合に見られるようなタンパク濃度依存的な結合がみられない。S6で見られるようにRNA-タンパクの結合曲線を描くとsense鎖のみ濃度依存的な特異的結合が見られる。

 

図7 RNA Recognition Motif(RRM)の決しつはPSP1のNEAT1 RNA Fociへの局在を消失させる

(A-B) PSP1-236-523: RRM欠失変異体。 p54/NRBとは結合。この変異体は、paraspeckleには局在しない。PSP1のRRMは、p54との結合を安定化するとの報告有り。この複合体は、協調してparaspeckleにおいてNEAT1 RNAに結合?

(C-F) PSP1 1-236: p54/NRBとの結合ドメイン決失変異体。核質にdiffuseに存在。Paraspeckleへの集積にこのドメインが必要。NEAT1 RNAやparaspeckleとは共局在しない。(C) PAP1 antibody (Red), (E) NEAT1 RNA

 

以上の知見は、NEAT1 RNAがU2やsnRNAなどの核型のその他のnoncoding RNAとは異なり、paraspeckleに単に局在しているだけでなく、タンパクの集積を介してparaspeckleの形成を行っていることを示唆するものである。

(砂河)

H3K9メチル化抗体の比較と作製について

Generation and characterization of methyl-lysine histone antibodies.

Perez-Burgos L , Peters AH , Opravil S , Kauer M , Mechtler K , Jenuwein T

Methods in Enzymology. 2004;376:234-54

 

H3K9抗体は、より良いものが望まれ、また、注意深いコントロールが必要である。

理由

1.Mono, di, triのメチル化を受けるから

2.H3K9とH3K27領域は、ともに-ARKS-というアミノ酸配列にあるから。(Fig.1a)

 

抗体作成の最も重要なステップは、抗原ペプチド作成である。

1.Length (6-20AA)

2.Configuration (liner vs branched)

3.Methylation state (mono, di, or tri)

 

次のH3K9抗体について、Specificity and subnuclear localizationを検討した。

1.Upstate antibody, a linear octamer (aa 6-13)

2.Abcam antibody, a linear 12-mer (aa 23-34)

3.Homemade antibody detecting 2-branched 11-mer (aa 5-15)

4.Homemade antibody detecting 4-branched hexamer (aa 6-15)

 

特異性のアセスには、3つのコントロールがある

1.ELISAS

2.Dot blots, peptide spotting analysis

3.Protein blots with recombinant and nuclear histones

ELISASもしくはペプチドとヒストンのblotは、initial characterizationに使うものの、whole nuclear extractsをもちいたprotein blotsが、non-histone moleculeにあるepitopeとのcross reactivityの検討に必要である。

 

Peptide blot analysis

 <Fig.2>

1.Upstate antibody; high affinity with H3K9me2 but minor cross-reactivities with H3K4me2 and H3K27me3

2.Abcam antibody; high performance for H3K9me2 and minor cross react. This is surprising because used antigen was designed for an alpha-demeth H3K27 antibody.

3.2-branched antibody; good specificity.

4.4-branched antibody; multi-methyl lysine antibody.

 

 

In vivo characterization of H3K9 methylation patterns.

<Fig.3>

1.      interephsase chromatin

2.      mitotic chromosomeでは、pericentric chromatinにそまる。

3.      DAPI staining (DNA stain)で集積したところには、染まらない。

Cf. inactive X chromosomeに集積

 

Suv39h double nullを用いた結果

<Fig.4>

X chromosomeには集積

 

まとめ

<Table.1> p246

 

(稲垣)
Regulation of Set9-Mediated H4K20 Methylation by a PWWP Domain Protein
Yu Wang,1 Bharat Reddy,1 James Thompson,2 Hengbin Wang,3 Ken-ichi Noma,4 John R. Yates III,2 and Songtao Jia1,*

 

PWWPドメイン蛋白によるset-9でのH4K20メチル化の制御

コロンビア大学 Wang, Jiaら

 

概要 

 DNA損傷を認識するチェックポイントの活性化において、H4K20メチル化は、53BP1/Crb1の動員に必須である。分裂酵母では、Set9が、me1,me2,me3化をになっているがそのメカニズムは不明であった。

 今回我々は、PWWPドメイン蛋白のPdp1がヒストンに結合し、Set9のクロマチン局在に必須であることを発見した。Pdp1のない酵母は、H4K20のme1,2,3いずれもおこらず、Crb2動員も障害されている。H4K20メチル化ヒストンにPWWPドメインは結合し、その結合能力のない変異体は、in vivoでSet9のクロマチン動員も、H4K20メチル化も障害される。

 これらの結果は、PWWPドメインは新たなエピゲノムのメチルリジン認識モチーフであることを示す。

 

イントロ

 H4K20メチル化はヒトではPR-SET7/set8がme1を、SUV4-20h1,h2がme2,me3を担うが酵母では、set9という一つの酵素が存在するだけであり、Crb2をDNA損傷の部位に動員する。このCrb2のほ乳類ホモログは、53BP1という蛋白で種をこえてよく保存されており、H4K20me1,me2に結合する。

 この過程で、我々は、プロリンートリプトファンートリプトファンープロリン配列をもつPWWPドメイン蛋白のPdp1が重要な役割をもつことを発見した。PWWPドメインはRoyalファミリーに属し、Tudor, chromoやMBTドメインとともに、修飾ヒストンを認識する。

 

図1 Set9-Flagをもちいた複合体の精製

A. Set9欠損株は、UV刺激に弱くなる。それをFlag-Set9で回復する。

B. Pdp1が免疫沈降してくる。

C. ウェスタン

D. 質量分析結果

E. 模式図

図2 蛋白相互作用の証明 

図3 pdp1かset9のいずれが欠損してもH4K20がなくなる。

C. Set9の動員にはpdp1が必須である。 D. GST-Pdp1プルダウンでヒストンコア蛋白げ免疫沈降される。

図4 Pdp1はDNA損傷チェックポイントの活性化に必須である。

A. 紫外線照射や放射線照射において、酵母を希釈してプレートしておき、サバイバルを見る。

B. 生存率がCrb2欠損 < pdp1/set9欠損 < 野生型

C. chk−1キナーゼのリン酸化がおこらない

D. Rad3-chk1チェックポイントがおかしくなっている。(rad3欠損株ではそれ以上の効果はない)

 

図5 

A. Pdp1欠損細胞にGFP-Crb2を発現しておき、放射線をあてると、fociを形成する。

B. 放射線照射によりCrb2はゆっくり移動する複合体がみられる。

C. Crb2欠損だとpdp1欠損もset9欠損も同じ効果。

 

図6 PWWPドメインの疎水性の空洞が重要な役割をはたしている

A. PWWPドメインの配列

B. Pdp2のPWWPドメインの結晶構造 疎水性ポケットを作るのは、136F 緑  139W 青 169F 赤  コントロールは138W ピンク

C. Pdp1で上記のPdp2構造に相当するW66, F94アラニン変異株でのH4k20me3の消失  コントロールはW65 (Pdp2の138Wに相当) W63変異体は異なる挙動をしめしたが理由は不明

H4K20me2はかわらず、H4K29me1は増加

D. Pdp1の疎水性空洞を作る芳香族アミノ酸の変異体をつくるとset9がヒストンに結合しない

E. しかしこれらのPdp1変異は放射線、紫外線への感受性をかえない。Chk1キナーゼはDNA損傷でリン酸化される。

 

図7 PWWPドメインがH4K20me1に結合することの証明 過剰発現とGSTプルダウン

D.E PWWPはH4K20me1に特異的に結合する

 

 上記からえられる重要な結論は、H4K20me1,2はDNAチェックポイントに必要だが、me3は不要である。ほ乳類でも53BP1はH4K20me2に結合するがme3には結合しない。

分裂酵母ではset9欠損株はDNA損傷チェックポイント以外には、遺伝子発現やストレス反応には関係しない。 分裂酵母でのPdp2,3の機能はわかっていない。

 ほ乳動物ではメチル転移酵素のNSD1とNSD2はPWWPドメインをもつ。NSD1はH4K20とH3K36をメチル化する。SUV4-20はクロモドメインをもつHP1と結合している。多数のPWWP蛋白はヒストン修飾酵素、DNA修飾酵素、転写因子などにある。

(児玉)

 

ヒストンメチル化とその制御

Regulation of Set9-mediated H4K20  methylation by a PWWP domain protein.
   Wang Y , Reddy B , Thompson J , Wang H , Noma K , Yates JR , Jia S ,
   Molecular Cell. 2009 Feb 27;33(4):428-37. PMID: 19250904



Non-coding RNAs in polycomb/trithorax regulation.
   Hekimoglu B , Ringrose L ,
   RNA Biol. 2009 Apr 13;6(2) [Epub ahead of print]. PMID: 19270511

 

An architectural role for a nuclear noncoding RNA: NEAT1 RNA is essential for the structure of paraspeckles.
   Clemson CM , Hutchinson JN , Sara SA , Ensminger AW , Fox AH , Chess A , Lawrence JB ,
   Molecular Cell. 2009 Mar 27;33(6):717-26. PMID: 19217333

 

Generation and Characterization of Methyl-Lysine Histone Antibodies
By Laura Perez-Burgos, Antoine H. F. M. Peters, Susanne Opravil,Monika Kauer, Karl Mechtler, and Thomas Jenuwein

Mathods in Enzymology, Elsevier Academic Press, Vol 376, Page 234-254.

ES細胞からの三胚葉への分化誘導

ES細胞は初期胚に由来する多能性幹細胞であり、このES細胞を用いたin vitroでの分化誘導は、細胞系譜の決定などの機構について解析するのに適した系である。これまでES細胞から各胚葉への分化誘導する技術が多数報告されているが、一つの系で三胚葉(内胚葉・中胚葉・外胚葉)への分化を同時に観察できる分化誘導系の報告はこれまでなかった。

今回、熊本大学発生医学研究センターの粂昭苑教授、白木伸明博士らとの共同研究によりES細胞から三胚葉を効率よく分化誘導できる方法を報告した。これまで、粂昭苑教授たちのグループは、中胚葉由来の培養細胞株M15細胞を用いて ES細胞から内胚葉組織である膵&beta;細胞及び肝細胞を効率的に分化誘導する系を報告していた。ここで得た知見をもとに、M15細胞と液性因子の添加を組み合わせることで内胚葉のみならず中胚葉・外胚葉を効率的に分化誘導することに成功した。アクチビン及びbFGFの添加により中内胚葉及び内胚葉を、Bmp7により中胚葉を、p38Mapkの阻害剤であるSB203580により神経外胚葉を分化誘導することができた。分化誘導した各細胞についてマイクロアレイ解析を行ったところ各種マーカー遺伝子の発現を確認できた。さらに、長期培養を行った結果、神経系ではニューロンのみならずアストロサイトやオリゴデンドロサイトへの分化、中胚葉系では骨や脂肪細胞への分化が確認された。

以上のことから、M15細胞を用いて分化誘導した細胞は、成熟した神経及び中胚葉への分化能を保持していることが明らかとなった。本研究により開発された分化誘導系やそこから得られる三胚葉を用いることにより発生初期現象のさらなる解明が期待される。

Nobuaki Shiraki, Yuichiro Higuchi, Seiko Harada, Kahoko Umeda, Takayuki Isagawa, Hiroyuki Aburatani, Kazuhiko Kume, and Shoen Kume
Differentiation and characterization of embryonic stem cells into three germ layers.
Biochem Biophys Res Commun. 2009 Apr 17;381(4):694-9. Epub 2009 Feb 27.

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