プロテオミクス技術

高感度質量分析によるタンパク質と核酸の同定

 質量分析での分子の解析能力は更に進化しており、本クラスターでは従来の高感度質量分析システムに加え、オービトラップによる高精度・高分解能質量分析 を進めようとしている。プロテオミクス解析の感度があがるにつれ、問題はノイズ低減に絞られてきた。核内外のタンパク質、核酸複合体を正確に観測するため には、免疫分離したサンプルの質量分析が有用である。そこで本拠点では、系統的に作成された抗体を低非特異吸着ビーズに結合し、ショットガン分析で一網打 尽にタンパク質複合体の構成分子や修飾を同定しようとしている。
 すでに48種の核内受容体モノクロナル抗体のうち数種類での核内複合体の分析、同定が進み、HNF4αなどでは10cmディシュ1枚で相互作用する50種類以上のタンパク質の同定に成功している。
 核酸の質量分析の進んでおり、転写されているRNAのコピー数の正確な同定や変異の同定が進んでいる。

質量分析器「Zaplous LTQプロテオミクス解析システム」装置概観 オービトラップ型質量分析計
質量分析器「Zaplous LTQプロテオミクス解析システム」装置概観とオービトラップ型質量分析計



解析フロー
<解析概要>
1 細胞から免疫分離したタンパク質複合体を複合体のままペプチド断片化する。
2 高感度LC-MS/MSシステムでペプチドを分離し質量分析計で測定。得られた質量分析データをゲノム情報から得られたデータベース検索にかけタンパク質 を同定する。グルタミンとリジンの質量差(0.036Da)の様なごくわずかな差も判定可能なオービトラップで測定すれば複雑な翻訳後修飾解析も可能にな る。
3 質量分析データから発現量比較も行い同定リストと統合することによりタンパク質複合体の経時的な量的・質的(翻訳後修飾等)変動を解析する。

LC-MS/MSデータ(クロマト図)
<LC-MS/MSデータ(クロマト図)>