2008年6月アーカイブ

論文1、2 PR-SET7のノックアウトの表現系 ショウジョウバエでの検討
論文3 白血病細胞でのRUNX1の発現サイレンシング

論文1 Aberrant monomethylation of histone H4 lysine 20 activates the DNA damage checkpoint in Drosophila melanogaster
Ayako Sakaguchi and Ruth Steward
JCB 176, 2007, 155-162

概要 ショウジョウバエでPR-SET7のノックアウトを解析すると、DNA損傷のチェックポイントが活性化されている。サイクリンBが減少し、有糸分裂への進展が阻害される。染色体の凝集も低下する。PR-SET7は染色体の凝集に必須なのであろう。

図1 三齢の幼虫の脳を解析した。野生型は二重のリングと活発な細胞分裂を示す。これがPR-SET7変異体ホモでもヘテロでも大きく乱れている。H4モノメチルが低下している。 H4モノメチルの免疫染色は凝集した染色体(リン酸化H3セリン10で示される)にみられる。

図2 
(a) 濃縮されていないところではH4K20モノメチルが検出できていないだけかもしれないので、有糸分裂にはいる細胞をていねいに観測した。野生型では2%、 PR-SET7変異では1.3%であった。Prophaseの細胞がPR-SET7変異で増えている。コルヒチン処理への反応性は悪くないので紡錘糸の形 成は異常ないと思われる。
(b) この変異は、DNA損傷のチェックを担うATR変異のmei41D3変異株では正常化する。
(c) 野生型ではH3のリン酸化は染色体凝集とともに現れるが、PR-SET7変異体では最初から染色体全体に現れる。染色体凝集と紡錘糸形成がカップルしていないと思われる。

図3 サイクリンBが低下する。これを分解するユビキチンリガーゼ複合体APC/Cの構成タンパクのcdc27が変異であれば回復するので分解の亢進と思われる。

図4 異常な染色体パターン(II-IV)が増し、(d)でみるDNA量が2n以下(矢印)が検出される。 遅延染色分体の頻度はPR-SET7にmei41変異(ATR変異)を加えると最も悪い。

図5 DAN損傷チェックポイントの活性化 S期と有糸分裂インデックスが減少し、細胞周期がストップしていることが推測される。これはチェックポイントを壊したMei変異体では回復かむしろ逆の増加するのでチェックポイントによる制御と思われる。

図6 ダブルストランドブレイク(DSB)を検出するH2Avのリン酸化(PH2Av)はγ線照射によりPR-SET7変異でも増加するので正常に反応している。PR-SET7変異でもγ線照射後のPH3陽性の分裂細胞減少はきちんとおこる。

以上よりPR-SET7の変異は凝集以上で染色体異常を感知するATRの系を介して細胞周期のG2/Mチェックポイント停止をおこさせているのであろう。グローバルな状態の規定にPR-SET7は従来想定されていたより重要と思われる。

論文2。Suv4-20は生存に必須ではない
Functional characterization of the Drosophila Hmt4-29/Suv4-20 Histone Methyltransferase Ayako Sakaguchi and Ruth Steward
Genetics 179, 2008, 317-322

概要 H4K20のメチル化はヒトでは2個の遺伝子 suv4-20h1とsuv4-20h-2でになわれるが、ショウジョウバエでは1個 のsuv4-20が行う。この変異体ではジメチルおよびトリメチルが減少し、モノメチルが増加するが生育異常はみられず、クロマチン上にサイレントな領域 を作るPEVも正常である。

図1 2種の決失変異 109はsuv4-20欠失、となりのskpAも欠失のためトランスジーンでレスキューしている。コントロールの174はsuv4-20は正常、skpA欠失は同様にレスキューしている。
図2、図3 メチル化の変異 
表1 突然変異源への感受性は109と174で変わらない。
表2 γ線への感受性も亢進していない。
表3 stubble PEVへの影響も変わりない。
すなわち、suv4-20は染色体の安定性、サイレンシングには関与していないと思われる。 これからみるとモノメチル化のPR-SET7が重要に思われる。 

論文3。PR-SET7による白血病細胞における遺伝子発現抑制    L3MBTL1を動員してRUNX1の転写活性化を抑制する
PR-SET7 establishes a repressive trans-tail histone code that regulates differentiation
Jennifer K Sims and Judd C Rice ;   Mol Cell Biol  Epub May12 2008

概要
 筆者らはPR-SET7によるH4K20のモノメチル化とH3K9のモノメチル化のテイル間の相互作用するコードが重要である。PR-SET7 の触媒作用をなくした変異酵素を用いてもこの抑制的相互作用がおこるところから、タンパク質相互作用をになうことが大事と考えられる。  H4K20モノメチルは、L3MBTL1抑制タンパク(ポリコーム)を動員し、RUNX1の発現を抑制する。白血病細胞K562で、PR-SET7を ノックダウンするとRUNX1が活性化される。巨核球の分化の上で重要な役割を果たしていると思われる。

イントロ
 ヒストン修飾酵素は、細胞種特異的な転写因子の発現を制御することにより、細胞分化を制御する。代表例はH3K27のトリメチル化を制御する ショウジョウバエESC-E(Z)複合体である。H3K27トリメチルはポリコーム複合体PRC1のクロモドメインに結合し、HOX遺伝子クラスターを制 御する。
 H4K20は転写抑制されているクロマチン部位に多くPR-SET7はH4K20のモノメチル化、Suv4-20は、ジおよびトリメチル化を になう。H4K20モノメチルは、L3MBTL1の3つのMBTリピートに結合する。L3MBTL1は、クロマチンを抑制型とし、E2Fの標的遺伝子を抑 制する。特にRUNX1の抑制は白血病発症に関係する。この経路の役割を検討する。

図1 PR-SET7によるH3K9のモノメチル化
Hela細胞でのsiRNAの効果 ラミン、G9a, PR-SET7と、触媒部位を変異させたcatalytically dead PR-SET7(R265G変異体)の過剰発現
G9asiRNA H3K9モノおよびジメチルが減る
PR-SET7siRNA H4K20モノメチルが減ると同時にH3K9モノメチルが減る
変異体過剰発現 H4K20 モノメチルが減る

A) RUNX1の発現量は、PR-SET7のshRNA、触媒作用のないPR-SET7過剰発現、L3MBTL1のshRNAで増加する。
B) RUNX1タンパク量の増加
C) RUNX1 プロモーターと160kb上流のH4K20モノメチルのない領域のChipアッセイ PR-SET7のノックダウンはH4K20およびH3K9のモノメチ ルの消失、L3MBTL1結合低下 PR-SET7触媒欠損はL3MBTL1結合と、H3K9モノメチルは維持できるがH4K20メチル化ができない。
D) C)の判定量的図示

図3 HELA細胞でのPR-SET7とL3MBTL1コトランスフェクションでのH4K20メチル化への効果。L3MBTL1だけだと H4K20モノメチル中心だが、PR-SET7が過剰発現でジおよびトリメチルが増える。RUNX1プロモーターのL3MBTL1とH4K20モノメチル

図4 H4K20メチル化の低下が巨核球への分化をうながす。K562細胞でのRUNX1プロモーター ヘミンやTPA処理でPR-SET7は減少する。H4K20モノメチルはTPA処理で特に低下する。同時にH3K9も低下する。

図5 K562のTPAでの分化
(A) H4K20モノメチルとH3K9モノメチルの低下と、L3MBTL1結合が低下する。
(B) 半定量化
(C) CD41陽性の細胞はH4K20モノメチルが少ない。
(D) 反定量化。

図6 PR-SET7 酵素活性変異の過剰発現による巨核球への分化

補足 プリント参照
HistoneH4K20 monomethylation promotes transcriptiona; repression by L3MBTL1
Kalakonda et al. Oncogene 2008 1-12

図3 L3MBTL1の結合ペプチド
L3MBTL1のH4K20とH3K9のモノメチルへの結合は、histoneテイルのacidic な環境を好む。3つのMBTドメインの2番目のD355Nはこの2つへの結合がなくなる。

図4 PR-SET7とL3MBTL1の相互作用
(a) 293細胞一過性過剰発現したHA-L3MBTL1とmycPR-SET7の共沈 核抽出液
(b) K562細胞にHA-L3MBTL1を強制発現し、stableをとり、antiHAでの免疫沈降でPR-SET7との相互作用を検出した。なおPRMT1,G9aとは相互作用しない。ESET,EZH1,EZH2とも相互作用しない。
(c) 大腸菌で作成したHis-tagged-PR-SET7とin vitro translationでS35標識されたL3MBTL1の各ドメインとの相互作用。なおホモ2量体を作る性質を使ってレーン8ではダイマーをコントロールとしてみている。

図5 レポーター系 stable発現系で抑制レポーターをセットしているが十分なシグナルは難しいように見える。
HEK2930TK22 株を用いる。 GAL4結合サイトを5個もった下にTKプロモーターとルシフェレースをおいてある。ここに、GAL4のDNA binding domainのみか、DNA binding domainとPR-SET7融合タンパク、触媒ドメインに変異をいれたD356N変異を含む融合タンパクをいれたものでレポーター活性をみている。 PR-SET7だけでは20%低下、L3MBTを共発現すると45%低下する。しかし50%以上の活性が残っている。酵素活性欠損タンパクでは活性が 100%残っている。

図6 L3MBTL1のクロマチンへの結合
筆者らはL3MBTL1のE2F結合を報告してきた。そこで今回は、サイクリンEプロモーターのE2F結合サイトへのL3MBTL1結合をみた。 細胞にG9a, PR-SET7, L3MBTL1をトランスフェクとして、siRNAの効果をみている。L3MBTL1のノックダウンは50%までは細胞が生存できるがそれ以上になると致 死的である。50%のノックダウンでは1.5倍のサイクリンE上昇にとどまる。

この論文筆者らの先行研究
A trans-tail histone code defined by monomethylated H4K20 and H3K9 demarcates distinct region of silent chromatine
Jennifer K Sims, -----Judd C Rice JBC 2006, 281, 12760
概要
抗体を作成して検討したところ、H4K20モノメチルは、ダイメチル、トリメチルと異なるクロマチン領域を染色する。特にH4K20モノメチルとH3K9モノメチルはサイレントクロマチンを特異的に反映している。

図1 H4K20メチル化モノ、ジ、トリ特異抗体の作成 16?25番目のアミノ酸を抗原にポリクロナル抗体を作成した。
図2 
(a) メスのMEFでモノとジ抗体は特異的な染色体領域を染色した。主に核周辺部でPol IIと一致しないサイレントな領域に多い。トリメチルはちょっと違った染色パターンを示す。
(b) モノとジ抗体での染色はマージしない。
図3
(a) H4K20モノメチルとH3K9モノメチルは一致する。
(b) H4K20モノとH3K9ジメチルは一致しない。H4K20ジとH3K9ジメチルは一致する。
(c) H4K20トリメチルとH3K9トリメチルは一致する。
図4
(a) HeLa細胞の伸ばしたクロマチンファイバーでみるとH4K20モノとH3K9モノが一致する。
(b) (c) はジメチル、トリメチル
(c) H4K20ジメチルはH3K9モノメチルの隣に位置する。
図5 
(a) HeLa細胞から調整した、モノヌクレオソームをH4K20モノ抗体で免沈するとジおよびトリメチルはあまり落ちてこない。
(b) H4K20トリメチル抗体で免沈すると、モノもジもよく落ちてくる。

これと矛盾する論文は
H4K20 monomethylation is increased in promoter and coding regions of active genes and correlates with hyperacetylation
Heribert Talasz, Wilfried Hellinger JBC 2005 280 38814
Activation of b-major globin gene transcription is associated with recruitment of NF-E2 to the b-globin LCR and gene promoter
Tomoyuki Sawada, Kazuhiko Igarashi and Mark Groudine PNAS 2001 98 10226

抄読会まとめ SETDB1について  児玉

SetDB1の性格 Genes and Development 2002, 16; 919-932
SETDB1: a novel KAP1 (TRIM28) associated H3K9 specific methyltransferase that contributes to HP-1 mediated siliencing of euchromatic genes by KRAB zinc fingers

Figure 1. KAP1とSETDB1の相互作用
A. コーサプレッサーKAP1の構造 RINGフィンガー、コイルドコイル、HP1結合、PHD、ブロモドメインの順番で、ブロモドメインのところへ SETDB1が結合する。KRABと結合するのとオリゴマー化は下線でしめしたRBCC部位で、ここに対して抗体を作って解析している。
B. 酵母2ハイブリッドアッセイでPHDとブロモドメインにMi-2aとSETDB1が結合する。
C. Mi2aまたはSETDB1とKAP1の結合がおちると、KAP1による抑制も低下する。
D. SETDB1をflagタグ付きで過剰発現し免沈するとKAP1がついてくる。
E. KAP1のRBCC部分でウェスタン

Figure 2.
A. SETDB1の構造模式図 MBDはCpG DNA methyl-binding domain その後にpre SETとSET、途中に挿入部位。KITはKAP1結合部位。
B. SERDB1は、酵素部分ではヒストンメチル化できない。大腸菌発現したGST融合タンパクの模式図 PRMT1, SUV39H1, G9a, SETDB1の酵素部分をもつクローン1(585?1291)、2(661?1291)のクマジーと、インビトロのH3,H4への3Hmethylの取り 込みアッセイでSETDB1にはメチル化活性がみられない。ヒストンタンパクのクマジー
C. 全長はヒストンメチル化する。FLAGつきSETDB1の過剰発現後の免沈からFLAGペプチドで溶出した全長のSERDB1は、H3を強烈にメチル化する。
D. Sf9細胞に発現したSETDB1の精製プロトコール 
E. 動物細胞発現SETDB1は活性をもつ。翻訳後修飾かコファクターが必要なのか?

図3。SETDB1の変異体
A. 変異部位
B. SETドメインをこわすとメチレース活性が消失する。KAP1との相互作用がないと活性はます。モノヌクレオソームヒストンでも同じ。
C. ヒストンのテイル配列のGST融合体 9リジンはN9とK4RとK27R
D. 9番目のリジンがあるものだけがメチル化される。

図4 HDAC2を含むNuRD複合体で染色体を処理するとSETDB1でのメチル化の効率があがる。ペプチドを表記のように処理してからメチレース活性をみると、K9-Me2, K9-Ac, S10-Pなどが活性をおとす。

図5 SETDB1によるH3K9メチル化がHP1の結合を促す。

図6 SETDB1が主要なH3特異的な内因性のメチレースである。
A. 核抽出液をフォスフォセルロースで分けていくと、SETDB1の多い画分にメチル化活性がある。
B. SETDB1抗体で免沈した上清では、メチル化活性がなくなる。
C.  SETDB1は主にユークロマチンにあって、核小体やHP1のあるヘテロクロマチンとオーバーラップしない。

図7 KRAB1-KAP1による抑制システムは、SETDB1とH3K9メチル化とそれに続く、HP1結合を呼び込む。
A. レポーターとレプレッサーのモデル図。レポーターはPAX3のDNA結合配列の下にルシフェレースを発現させる。一方、サプレッサーは、KRABにPAX3のDNA結合ドメインをつけてある。
B. 株の性質
C. Chip解析。両方を発現していながら、ルシフェレースが抑制されている細胞では、KAP1とSETDB1がTKプロモーター近くに動員されている。
D. Chip解析。 クローン74ではかなりのTKプロモーターがKAP1,SETDB1で占められている。
It takes a PHD to SUMO  TIBS Vol33 No5 P191 概要 PHDフィンガーとブロモドメインはクロマチン関連タンパクで近接して存在している。PHDフィンガーをもつKAP1コレプレッサーはとなりのブロ モドメインのE3SUMOリガーゼであることが示された。PHDによるSUMO化はブロモドメインのSETDB1とNuRD 複合体との結合を安定化し、遺伝子発現をサイレンスする。

用語 
PHDフィンガー C4HC3ジンクフィンガー2個からなり、C3HC4のRINGフィンガーコンセンサスとよく似ている。PHDのあるグループ は(1)メチル化リジン、(2)修飾されていないヒストン3、(3)フォスファチジルイノシトールリン酸、の認識にかかわり、E3Ligaseとして働く 可能性もある。
ブロモドメイン ほとんどのヒストンアセチル転移酵素にあるドメインで、アセチル化リジンに結合しタンパク=タンパク相互作用を担う。

SUMOの総説 NCB 2007 vol8 p947
small ubiquitin-related modifier 10kDaで最初の10-25aaが特徴的。ヒトにはSUMO1から4までの4つの遺伝子がある。1-3 はユビキタスで4は腎臓、脾臓、リンパ節である。 Gly-Glyの後ろに2-11aaの余分な配列をもちプロテアーゼで切断される。酵母に続いてヒトのRAD51, RAD52, FAS, PML, RanGAP1などで発見された。現在、修飾される標的の配列予測は ΨKxE(Ψプサイ:脂肪族の分岐アミノ酸 、バリン、ロイシン、イソロイシン)。KはリジンでEはグルタミン酸。それ以外セリンがリン酸化されるとSUMO化されるΨkxExxSPがある。 一方、相互作用する標的はSUMO-interaction/binding motif (SIM/BIM)と定義されている。 NCB(図1)***GGXXXX → SUMOプロテアーゼ→ ***GG → E1 活性化酵素に結合 → E2結合酵素で仲介タンパク質に転移される →E3酵素により標的に転移される。 SUMO E3の最大のグループはSP-RINGファミリーである。 その中にはPIASファミリーとMMS21/NSE2はDNA複製にかかわる。 RanBP2もE3だが異なるタイプでHDAC4, Sp100, PMLのSUMO 化が促進される。 ポリコームのPc2はコレプレッサーのCtBP1, CtBP2をSUMO化する。 HDAC4はそれ自体SUMO化されるが、MEF2をSUMO化促進する。LXRβと腫瘍抑制因子HICもMEF2のSUMO化を促す。 多重的なSUMO化(ポリSUMO化)はSUMO2/3でみられるがよくわかっていない。 特異的なプロテアーゼによりSUMOは取り除かれるので可逆的な反応である。 NCB(図2)SUMO化により結合するタンパク質が変換されることが重要である。 NCB(図3)低いレベルの転写因子のSUMO化は定量的な抑制につながる。 NCB(図4)酵素によっては活性化サイクルごとにSUMO化を必要とする。 NCB(図5)SUMO化は細胞内のいたるところでみられる。
TIBS図1 (a) KRABという転写因子がアセチル化されて活性化されているクロモソームに存在するとKAP1が結合する → KAP1 PHDがユビキチンリガーゼ (E3)として働き、E2酵素のUbc9を結合して、SUMOがとなりのブロモドメインに転移される。 (b) NuRDがリクルートされて、リジンが脱アセチル化される。
(c) SETDB1がリクルートされるとH3K9がメチル化される。
(d) HP1がリクルートされて遺伝子が不活性化される。

Mol Cell PHD domain-mdiated E3 ligase activity directs intramolecular SUMOylation of an adjacent bromodomain required for gene silencing Ivanov et al. Mol Cell 28 p823-837
図1 KAP1のSUMO化はPHD依存的である
KAP1/TIF1β/TRIM28(tripartitemotif containg protein28)は最大のファミリーの転写サイレンス因子で、KRAB結合ドメインをもつジンクフィンガータンパク質である。N端から RING=B1=B2=coiled coilでKRABに結合し、次にHP1結合部位、NHD、プラントホメオドメイン、ブロモドメインからなる。 A. KAP1の中のSUMO化コンセンサス配列 Ψkx(E/D) EもDも陰性荷電
B. KAP1のモデル図。黒い筋のHP1BDはHP1結合ドメイン。
C. KAP1抗体で免疫沈降したものをantiSUMO-1抗体(invitrogen mouse anti-SUM01/GMP1 monoclonal antibody)でウェスタン
D. HEK293をコントロールまたはHA-SUMO1プラスミッドでコ・トランスフェクトしてKAP1抗体でウェスタンブロットして矢印がSUMO-KAP1だという(本当か?)
E. P32SUMOを用いたin vitro SUMOylation. GST-KAP1をリコンビナントE1,Ubc9,32PSUMO1存在でインキュベーションしてクマジー染色とオートラで示した。
F. HEK293をFLAG-KAP1とT7-SUMOプラスミドでトランスフェクトした。FLAG抗体でウェスタンした。KAP1C651AというPHD破壊するとSUMOつかなくなる。
G. GST融合KAP1 RBCCHにはSUMO化活性ない
H. GST融合KAP1 NPBにはSUMO化活性がある。

図2 SUMO化サイトと抑制ドメインの一致 convergence
A. GST融合ドメインのSUMO化の観察 PHDがKからRになるとだめ。ブロモドメインのKKKがKRKかKRRになるとダメ。
B. そのときのRexA=TK-luciferase融合プラスミッドの活性化のKAP1変異体での抑制。PHDがKからRになるとだめ。ブロモドメインのKKKがKRKかKRRになるとダメ。
C. PBの変異体の組み合わせ。SUMO化サイトがなくなると抑制がなくなる。
D. T7-PGとLexレポーターを共発現。SUMO化がないと抑制できない。
E. SUMO化を阻害するタンパクのGAM1を発現すると、抑制がなくなる。
F. G.H.はNPBドメインの発現でのSUMO化と抑制の一致。

図3。PHDドメインのUbc9への結合と隣接ブロモドメインのSUMO化
A. C651をSUMO 化できなくしても、K779がSUMO化されている。
B. K779Rの変異で抑制効果はなくなる。
C. GST-PHD(下のほうのバンド)はUbc9に特異的に結合してsae1やsae2にはつかない。
D. GST-PHD(下のほうのバンド)のUbc9に特異的に結合はPHDの変異体できえる(ちょぼい)
E. ほかの類似のTIF1α、γ, sp100cのSUMO化は弱い。
F. KAP1のブロモドメインを含むPBを特異的にSUMO化する。
G. PHBでもBPHでもSUMO化される。

図4 KAP1 PHDへのUBC9結合サイトのマップ
A. KAP1-PHDのUbc9存在での変化らら結合サイトの同定
B. モデル図
C. 黄色が変異するとKAP1-Ubc9相互作用を阻害したアミノ酸
D. L653とL2の重要性

図5 KAP1のSUMO化のKRABドメインによる抑制への作用
A. PBとKRABにより特異的の抑制され、それがGAM1野生型で阻害される。
B. Myc-GAM1によるSUMO化抑制
C. GAL4-KRABの抑制のshKAP1での消失
D. KAP1の変異体での抑制の消失

図6 SetDB1とCHD3のKAP1相互作用はSIM(SUMO interaction motif)依存性
A. 酵母での増殖セレクション NPBの676番目のリジンがsetdb1とchd3(NuRD複合体の一つのタンパク)結合に大事です。
B. K676とK779が大事。酵母のSUMOタンパク質smt3pはKAP1につく。
C. SETDB1側では、113-380が大事で、そのN端側の113から136がないとだめ。
D. SUMO1だけでなくSUMO2も結合する。
E. SETDB1とCHD3の比較からSUMO interacting motifのコンセンサスを求めた。
F. Setdb1をS35標識したビーズで、図に示した大腸菌で作ったSUMO化GST融合タンパクと結合をみると、SUMO1への結合はSUMO1の変異体でなくなる。
G. 逆にSETDB1とCHD3のSIM変異体で、KAP1のSUMO化が消失する。

7 KAP1のSUMO化は、SETDB1のターゲットプロモーターへの誘導と、酵素活性化をもたらす。
A. まずshKAP1でKAP1をつぶしたU2OS0-K4細胞に変異FLAG-KAP1を恒常的に発現する細胞で生理的発現量に近いものをセレクトした。 KAP1, p53,HP1が発現している。C2はKRADドメイン変異体で結合できないもの、M2はHP1結合できなもので核内移行異常、K6RはSUMO化できな いもの、dBはdeletion of BromodomainでSUMO化が低下。
B. SUMO1,SUMO2結合はWTで顕著
C. TKプロモーターへのKAP1によるSETDB1とCHD3の誘導。GAL4-KRABを発現するとSETDB1が集まりH3K9が増える。
D. PBドメインおよびSUMO1-PBの増加でのH3K9メチル化の増加
E. モデル

Seminars in Cell and Developmental Biology 14, 2003, 67-75
Scotta, Ebert, Dorn and Gunter Reuter ハーレ マルチン・ルター大学

 真核細胞では多くの遺伝子がサイレンスされているがこれは完全にサイレンスされているconstitutiveなものと、一時的または条件によりサイレ ンスされるfacultative(条件的)なものに分けられる。条件的なものの代表はメスのほ乳動物におけるX染色体の不活性化である。雄はXYでメス がXXの場合、メスの2つのXのうち父親由来の染色体領域をヘテロクロマチンにして不活性化し遺伝子の量が2倍にならないようにする。

図1 クロマチンの変化にすごく敏感なショウジョウバエのWm4変異体
ショウジョウバエのX染色体に目の色の赤い色素を作るwhite遺伝子変異があると目が白くなる。White変異という。Wm4変異はwhite 遺伝子が染色体の点座でセントロメア周辺のXヘテロクロマチンとユークロマチンの境界に位置している。両側がヘテロクロマチンの構造をもつなかにユークロ マチン配列がほうりこまれた形のため、まわりのヘテロクロマチンの位置効果position effectによりwhite遺伝子はほとんど(95%)の細胞で抑制され、白い斑入り(variegated)になる。これを塩に5%くらいコショウの はいっている調味料にたとえてsalt and pepper appearanceともいう。斑入りになるのは発生途上の網膜細胞の分化で特定のクラスターでヘテロクロマチン化がうまくいかない場合が記憶されてしま うからである。

図2  Suppressor of Variegation Su(Var) スーバー Enhancer of Variegation E(Var) イーバー
エンハンサーは目の色が真っ白くなる。サプレッサーは目の色が赤くある。これは、whiteを含む領域が完全にヘテロクロマチンになるか、ユークロマチンに戻るかによる。
(a) ヘテロで完全に目が白くなるE(Var)3-1
(b) E(Var)3-1のバックグランドのハエにドミナントで強いSu(Var)2-1が加わるとと多少赤くなる。
(c) Su(Var)3-1のヘテロは目が真っ赤になる。
(d) Su(Var)2-1は強いサプレッサー
(e) Su(Var)2-1のハエにγ線をあてて変異を導入すると新たなE(Var)変異が見つかる。
(f) この変異体をもとのWm4に加えると完全に白くなるのでE(Var)がヘテロで強く働く変異であることがわかる。

表1 スクリーニングの数
EMS 化学物質で1塩基変異を作り出す。変異体はとりやすいく種類がたくさんできるが、リバータント(復帰変異)ができやすく安定しない場合もある。 γ線 大きなデリーションが多い。復帰変異がおこりにくいが機能が大きく損なわれるので数はとりにくい。 下の方はpエレメントなどの挿入変異でE(Var)が多くとれている。

図3 ジャンプスターター種からのmatingでのモディファイヤー探索  X染色体にPエレメントを挿入したハエを使った新たなスクリーニングでサプレッサーを1コピーもつハエを作りエンハンサー(サプレッサーへのモディファイヤー)を探索した。 trithorax遺伝子群の多くがエンハンサーであるが、polycombは一つしたサプレッサーでなかった。

図4 遺伝子の量的な影響
左側 1遺伝子の欠損 ハプロサプレッサー
3遺伝子の存在 トリプロエンハンサー  su(var)3-9 H3K9メチレース
右側 1遺伝子の欠損 ハプロサプレッサー
3遺伝子の存在 トリプロサプッレッサー
一覧表(実験医学)

図5 su(var)3-9のさまざまなrearrangementでの効果
(a) ある種でのlacZの抑制のvariegation これにsu(var)3-9変異を加えたヘテロの場合 抑制が不十分になる。
(b) white遺伝子の抑制 su(var)3-9野生型を2分子いれると強くなる。
(c) yellowのvariegationでもsu(var)3-9変異をいれると抑制がはずれる。
このようにwhiteだけでなくさまざまな標的のin vivoのヘテロクロマチン化を制御していることがわかる。

SUMOによる遺伝子サイレンシング複合体

文献1
Genome-wide mapping of Polycomb target genes unravels their roles in cell fate transitions

ポリコームグループタンパク質(PcG)はクロマチン修飾複合体を作り、胎児発生とES細胞維持に働き、がんで異常制御を示す。ヒトのES細胞でその標的 遺伝子をchip-chipで同定した。Polycomb Repressive Complex-1 (PRC1)は、10以上のタンパクからなりがん遺伝子のBMI-1とHPCタンパク質群のCBX2,CBX4,CBX7,CBX8、HPH1-2, RING1-2, とSCMLなどからなる。PCR-2はEZH2(H3K27とHiK26のメチル化酵素), FED,SUZ12とRbAp48からなる。1000以上のサイレンスされた遺伝子ではPCR-1,PCR-2, H3K27Me3が同じ場所に位置する。PRC-2のEZH2, FED,SUZ12およびPRC-1のBMI-1のRNAiで抑制がはずれて発現上昇の40の遺伝子の中には脂肪細胞分化、軟骨分化の遺伝子もある。神経 細胞への分化系で2つのPcGのかかわるメカニズムを解析した。PcG標的遺伝子で分化に伴い活性化するときには、PcGははずれていなくなる。ところ が、分化の途上で発現が抑制される遺伝子群ではPcGがすでに結合している場合が多い。これらの結果はPcGは事前にプログラムされた記憶システムで、分 化過程において特定のマークされた遺伝子を抑制する役割をもつと思われる。

PcGは転写抑制系と考えられている。脊椎動物のHox遺伝子群はAからDの4つのクラスターにわかれ、それぞれ13個の遺伝子からな り、前から後ろに対応する。Tail HOX遺伝子は、HOX Aローカスの5'側のHOXA 7-13は胎児の後ろ側に発現する。PcGのノックアウトマウスでは、頭と真ん中でのこれら遺伝子発現の抑制がおこらず、前後軸がでたらめになる。 PCR-2のEZH2はH3K27とHiK26のメチル化酵素だが、PRC-1のHCPタンパク質群はH3K27Me3に結合する。PRC-1はまた H2AK119 ユビキチン化のE3リガーゼ機能をもつ。PcGは胎児発生期だけでなく成人における幹細胞のrenewalにもかかわる。EZH2の過剰発現は筋原細胞の 筋肉への分化を阻害するとともに、血液幹細胞の枯渇を抑える。いくつかのPcGはがん遺伝子でがんに過剰発現されている。

PcG研究の進展にかかわらず正確な分化と細胞運命決定のメカニズムは不明である。そこでchipでのゲノムワイドなスクリーニングを試みた。PcGはいくつかのアンチオンコジーンを抑制している。

図1 増殖中のヒト胎児ディプロイド繊維芽細胞にsiRNAトランスフェクト44時間後ウェスタンでタンパクの減少を確認。U133でみて 341遺伝子の変動を確認した。RT-PCRで確認した。MT1G メタロチオネイン1G CCND2 サイクリンD2 HOXA5 TGFB14 CYP1B1 SERPINB2は別名PAI2 が増え、CCA2 CDC6が減っている。この2つは転写因子E2Fのターゲットである。

図2 chip on chipでのSUZ12(PRC2) H3K27Me3 CBX8(PRC1) E2F3の分布  E2F3 以外はHOXAローカスで同じ分布を示している。ポルIIはHOXA4とA5に結合していてこの2つはこの細胞で発現している。(Cの一番下)

図3 カスタムデザインのアレーを作り変化した341遺伝子への結合を解析した。
BMP2, ATF3, (DKK2)ではTSS近傍でのベルカーブ型の結合をみた。CCND2では毛布型の広い分布をみた。BMI-1にもSUZ12やCDX8の結合がみられた。

図4 プロモーターアレーでの解析
ショウジョウバエからヒトで保存されている遺伝子群がK27Me3とCBX3とSUZ12で重なった。実際には、HOXA-D, レチノイン酸, PAX, FGFシグナル、SOX, FOX 因子、ポリコーム、ノッチシグナル、TLXシグナルNR2E1、TGF経路、Wnt経路、ヘッジホッグ経路などの遺伝子が同定された。

表1 分化関連遺伝子のchip-chipでのPRC結合の同定
図5 分化の間での結合低下と発現上昇の相関 ZIC1 Meis2
発現低下の遺伝子では最初からPRCの結合あり、あまり増えない 

図6 PRCは分化していない細胞の活性化されたHOX遺伝子座に存在している。
A レチノイン酸分化 
B この時の定量的PCRでのmRNA測定
C 結合の変化 前半HOX遺伝子への結合きえるのはいいが後半は転写が増加してもかわらない。一方 HOX9-13やNeurog2 Oligo2ではパラドキシカルな結合。

文献2
Identification of SUMO-dependent chromatin-associated transcriptional repression components by a genome-wide RNAi screen Molecular Cell 2008 vol28 p742-754

SUMOによるタンパク質修飾はAos1/Uba2のE1活性化酵素、Ubc9のE2結合酵素、U3リガーゼで行われ多くの標的は転写因 子である。この反応はリバーシブルでイソペプチダーゼによるSUMO除去が行われる。発芽酵母、線虫、ハエで共通である。無脊椎動物は1種のSUMOでほ 乳類は4種のSUMOタンパク質がある。変異でSUMOが起こらないようにするとステロイドホルモン、Lef1、C/EBP、Elk1、SP3などで転写 活性が上昇するので、転写抑制的に働いていると思われる。このメカニズムは不明である、第一のモデルはSUMO化されたLef1はPML小体に集まるとい う。第二のモデルは、SUMO化によってコレプレッサーがリクルートされる。HDACや抑制的複合体のDaxxの結合が報告されている。

SUMO解析の問題は、
 第一に、タンパク質の極一部分のみがSUMO化されるが、変異体の導入は転写に大きな影響を与える。このことは、クロマチンレベルでの影響を考えさせる。
 第二に、SUMO化の阻害剤がないため、非特異的プロテアーゼ阻害剤のNEMが用いられる。
 第三に、酵母2ハイブリッドでは非生理的な強い相互作用が検出される。

 この解決のため、ゲノムワイドなRNAiスクリーニングを企画した。SP3のSUMOによる転写抑制をモデルに、MEP1、Mi-2、 Sfmdt (ヒトポリコーム遺伝子L3 MBT L1ホモログ)がつりあげられた。これら三者は相互作用し、免疫沈降でnativeなMEP1、Mi-2とロバストな相互作用が確認された。ステーブルに トランスジーンされた領域へのSUMO依存的な三者の動員も確認された。NativeなマウスのMi-2とL3MBTL1のDHFRプロモーターへの結合 は、SP3-/-マウス由来のMEFでで消失することも確認された。

図1 smt3(ショウジョウバエSUMO)で551番目のリジン修飾されるとショウジョウバエのSp3は不活性になる。レポーターとし てGC-rich配列を2回にTATAのあとfirefly Luciferase を(GC)2Flucと呼ぶ。実験ではKc167ショウジョウバエ細胞にこの40ngの(GC)2Flucと、2ngのSp3をコトランスフェクトする。 効率測定に2ngのpPacRenillaLucを用いる。 Sp3K551R変異体はSUMO化されないのでコントロールに用いる。SUMOのRNAi がSUMO経路を阻害するとWTは活性化する。K551R(すでに活性型)では変化しない。Ubi63p(ショウジョウバエのユビキチン)のRNAiでは 低下はみられない。 RNAiしたのとしないのでFluc/Rlucを比較する(図D)。duplicateでよい一致を示す。図Eでは3倍以上の違いの でた候補を選択した。図Fでもう一回duplicateで確認し、上昇したのをとった。384well プレートで細胞を破壊してオートメ化した機械で測定した。

図2 duplicateで265をひろいだした。Triplicateで185個をひろう。SV40 5 XGCFLuc とSp3のWTのsmall isoform 略してWtsi、またはK551Dsiをトランスフェクトし比を計算する。SUMO以外でsp3を不活性化するものを96ウェルで除外し120個をひろっ た。 主なものをあげると ubc9はE2、Su(var)2-10(ショウジョウバエのPIAS)はE3。このスクリーンはSUMO化のところと、下流 のところが区別つかない。

図3にSUMO化されたSp3の蛋白量をウェスタンで測定した。SUMO 化にかかわるものはSUMO-Sp3を減らすと考えたからである。 SUMO化がへったのはSUMOとUbc9とPIASの他には2個だけであった。Jraはjun related protein(ショウジョウバエのjun) 他の15個はSUMO-Sp3が変わらないか増加した。

図4 候補遺伝子の複数のRNAiによる活性化の確認
SUMO経路で、核タンパクで、直接的なDNA結合タンパク質でない候補として、Mi-2はchd4またはLET418といい脱アセチル化にかか わるNuRD複合体のATP依存性のクロマチン、chd3はその類似物、MEP1は7個ジンクフィンガーをもつ、sfmbtはポリコーム(メチル化ヒスト ンに結合する H3K9 Me1-2, H4K20 Me1-2)、sbbはジンクフィンガー、を検討した。これらはウェスタンで核にあり、RNAiで減少した。

図5 HDACはsp3-SUMO抑制の関係ないことを示すデータ
ショウジョウバエNuRDはMi2の他、ヒストン脱アセチル化酵素RPD3などからなる。PRD3のRNAiは図Cに示すようにタンパク質減少に有効だが、転写活性化はしない。図Dに示すようにトリコスタチンやニコチンアマイドNAM などの阻害剤は無効である。

図6 SUMO化に依存したMEP-1,Mi-2,SfMBTのリクルート
ショウジョウバエのSUMOとヒトSUMO1との相互作用をみるとMEP1>Mi2>sfMBTであるがいずれもGST-SUMOと結合し (A)、Sp3とも結合した(B). 次にクロマチン免沈でSp3によりSUMO依存的にこれらがリクルートされることをみた。Cu2+依存的にWT-Sp3かSUMO化異常Sp3を誘導して みるとSUMO依存的にリクルートされることがわかる。 図DEではGSTで結合をみた。三者が複合体を作ってプロモーターSp3に結合している。

図7 マウスdhfrプロモーターでのMi2とL3mbtL2の結合。
 ほ乳類のdhfrプロモーターではSp1が促進的でSp3が抑制的である。Sp3欠損ではMi2とL3MBTL2がなくなる。

文献3
L3MBTL1, a histone methylation dependent chromatin lock  Cell 129, 915-928
L3Mbtl1は、Hib、HP1g、Rbと複合体を作り、H4K20 Me-1,2とH1bK26 Me-1,2に結合する。L3MBTL1はE2Fで制御される遺伝子を抑制する。

図1 L3MBTL1の複合体精製とクロマチン圧縮 compaction
真核細胞FLAGと大腸菌GST-3MBTの発現。ショ糖濃度勾配でのヌクレオソームとまぜて精製。クロマチン圧縮の検証 各ピークのフラクションを電顕でみた。サイズがかわっている。

図2 H4K20モノメチルがクロマチンへの動員とクロマチン圧縮に十分である。
A ペプチドアフィニティーカラムへの結合
B 電顕での圧縮の証明 リコンビナントのヌクレオソーム再構成系 PR-SET7でH4K20モノメチル化されているものに、精製タンパク質を加えた。
C Nuclear extractとまぜたL1,L2はHP1gとRbと結合 L3はHP1aと結合
D L3MBTL1依存的なHP1g結合
E L1N端側でのHP1g結合

図3 L3MBTL1のH1bとのin vivo および in vitroでの結合。
A HEK293細胞にFLAG-L3MBTL1またはL2とH1bをコトランスフェクトするとL1がH1bと結合する。
B H1bは結合するがH1oは結合しない。
C H1bK26A変異で結合しなくなる。H1bK26またはその修飾を認識している可能性
D ペプチドアフィニティーでの検討 Me1またはMe2は結合するがMe0またはMe3はしない。
E 3つのMBTドメインのうち2番目P2aが結合に必須である。
F 発現させた全長のタンパクでもP2a変異によりH1bK26me1結合がなくなる。H4K20Me1も結合し、P2a変異で結合できなくなる。

図4 再構成されたH1bK26Meを含むヌクレオソーマルアレーはL3MBTL1で圧縮される。
前提としてH3K9が基質のメチル化酵素G9aはH1bK26をmonoおよびdimethyl化する。H3K9とH3K27とH1bK26周辺の配列はよくにているが、これらのペプチドをL3MBTL1は認識しない。
A 結合
B 圧縮アッセイ Nishiokaの方法  2ugのヌクレオソームアレーを使い、リコンビナント3MBT タンパクとまぜたあと、ショ糖勾配の上にのせて分離する。リコンビナントコアヒストンはp300でアセチル化されているがH1それ自体は圧縮できない。 G9a methylated H1bはDNAの端に多くみられ、真ん中はむきだしのDNAである。ルーピングする場合と、圧縮する場合がある。
D H4K20me1ビーズへの結合がH1K26me2で抑制される。
E His-3MBTにペプチドを加えて、ニッケルカラムで精製して、それをH4K20me1カラムに結合をみるとH1K26me2はH4K20 結合を阻害するが、H1K26me3は阻害しない。
Table1 nH1は正常のH1ミックス rH1bは組み替えH1bをG9aでメチル化 PR-SET7は、H4K20のmonomechylation.をおこす。

図5 L3MBTL1標的のchipアッセイ
RbはE2Fファミリーの転写因子の結合を阻害して細胞周期の進展を制御する。図1AでL3MBTL1?FLAGはRbと結合している。E2F標 的のうちmycとサイクリンE1(ccne1)に結合していることがchipアッセイでFLAG抗体またはL3MBTL1抗体を用いて示された。RNAi で結合量は減少した。

図6 モデル
H1K26me1/2またはH4K20me1/2に結合し、H3K9me2/3やH3K27me1/2/3には結合しない。binding model 左側 2つのヌクレオソームに1?2個のMBTタンパクが結合する。Aasociation model 右側 

コレプレッサーの分子内SUMO化とsetdb1の動員

抄読会まとめ SETDB1について  児玉

SetDB1の性格 Genes and Development 2002, 16; 919-932
SETDB1: a novel KAP1 (TRIM28) associated H3K9 specific methyltransferase that contributes to HP-1 mediated siliencing of euchromatic genes by KRAB zinc fingers

Figure 1. KAP1とSETDB1の相互作用
A. コーサプレッサーKAP1の構造 RINGフィンガー、コイルドコイル、HP1結合、PHD、ブロモドメインの順番で、ブロモドメインのところへ SETDB1が結合する。KRABと結合するのとオリゴマー化は下線でしめしたRBCC部位で、ここに対して抗体を作って解析している。
B. 酵母2ハイブリッドアッセイでPHDとブロモドメインにMi-2aとSETDB1が結合する。
C. Mi2aまたはSETDB1とKAP1の結合がおちると、KAP1による抑制も低下する。
D. SETDB1をflagタグ付きで過剰発現し免沈するとKAP1がついてくる。
E. KAP1のRBCC部分でウェスタン

Figure 2.
A. SETDB1の構造模式図 MBDはCpG DNA methyl-binding domain その後にpre SETとSET、途中に挿入部位。KITはKAP1結合部位。
B. SERDB1は、酵素部分ではヒストンメチル化できない。大腸菌発現したGST融合タンパクの模式図 PRMT1, SUV39H1, G9a, SETDB1の酵素部分をもつクローン1(585?1291)、2(661?1291)のクマジーと、インビトロのH3,H4への3Hmethylの取り 込みアッセイでSETDB1にはメチル化活性がみられない。ヒストンタンパクのクマジー
C. 全長はヒストンメチル化する。FLAGつきSETDB1の過剰発現後の免沈からFLAGペプチドで溶出した全長のSERDB1は、H3を強烈にメチル化する。
D. Sf9細胞に発現したSETDB1の精製プロトコール 
E. 動物細胞発現SETDB1は活性をもつ。翻訳後修飾かコファクターが必要なのか?

図3。SETDB1の変異体
A. 変異部位
B. SETドメインをこわすとメチレース活性が消失する。KAP1との相互作用がないと活性はます。モノヌクレオソームヒストンでも同じ。
C. ヒストンのテイル配列のGST融合体 9リジンはN9とK4RとK27R
D. 9番目のリジンがあるものだけがメチル化される。

図4 HDAC2を含むNuRD複合体で染色体を処理するとSETDB1でのメチル化の効率があがる。ペプチドを表記のように処理してからメチレース活性をみると、K9-Me2, K9-Ac, S10-Pなどが活性をおとす。

図5 SETDB1によるH3K9メチル化がHP1の結合を促す。

図6 SETDB1が主要なH3特異的な内因性のメチレースである。
A. 核抽出液をフォスフォセルロースで分けていくと、SETDB1の多い画分にメチル化活性がある。
B. SETDB1抗体で免沈した上清では、メチル化活性がなくなる。
C.  SETDB1は主にユークロマチンにあって、核小体やHP1のあるヘテロクロマチンとオーバーラップしない。

図7 KRAB1-KAP1による抑制システムは、SETDB1とH3K9メチル化とそれに続く、HP1結合を呼び込む。
A. レポーターとレプレッサーのモデル図。レポーターはPAX3のDNA結合配列の下にルシフェレースを発現させる。一方、サプレッサーは、KRABにPAX3のDNA結合ドメインをつけてある。
B. 株の性質
C. Chip解析。両方を発現していながら、ルシフェレースが抑制されている細胞では、KAP1とSETDB1がTKプロモーター近くに動員されている。
D. Chip解析。 クローン74ではかなりのTKプロモーターがKAP1,SETDB1で占められている。

It takes a PHD to SUMO  TIBS Vol33 No5 P191
概要 PHDフィンガーとブロモドメインはクロマチン関連タンパクで近接して存在している。PHDフィンガーをもつKAP1コレプレッサーはとな りのブロモドメインのE3SUMOリガーゼであることが示された。PHDによるSUMO化はブロモドメインのSETDB1とNuRD 複合体との結合を安定化し、遺伝子発現をサイレンスする。

用語 
PHDフィンガー C4HC3ジンクフィンガー2個からなり、C3HC4のRINGフィンガーコンセンサスとよく似ている。PHDのあるグループ は(1)メチル化リジン、(2)修飾されていないヒストン3、(3)フォスファチジルイノシトールリン酸、の認識にかかわり、E3Ligaseとして働く 可能性もある。
ブロモドメイン ほとんどのヒストンアセチル転移酵素にあるドメインで、アセチル化リジンに結合しタンパク=タンパク相互作用を担う。
SUMOの総説 NCB 2007 vol8 p947
small ubiquitin-related modifier 10kDaで最初の10-25aaが特徴的。ヒトにはSUMO1から4までの4つの遺伝子がある。1-3 はユビキタスで4は腎臓、脾臓、リンパ節である。Gly-Glyの後ろに2-11aaの余分な配列をもちプロテアーゼで切断される。酵母に続いてヒトの RAD51, RAD52, FAS, PML, RanGAP1などで発見された。現在、修飾される標的の配列予測はΨKxE(Ψプサイ:脂肪族の分岐アミノ酸 、バリン、ロイシン、イソロイシン)。K はリジンでEはグルタミン酸。それ以外セリンがリン酸化されるとSUMO化されるΨkxExxSPがある。一方、相互作用する標的はSUMO- interaction/binding motif (SIM/BIM)と定義されている。
NCB(図1)***GGXXXX → SUMOプロテアーゼ→ ***GG → E1 活性化酵素に結合 → E2結合酵素で仲介タンパク質に転移される →E3酵素により標的に転移される。SUMO E3の最大のグループはSP-RINGファミリーである。その中にはPIASファミリーとMMS21/NSE2はDNA複製にかかわる。RanBP2も E3だが異なるタイプでHDAC4, Sp100, PMLのSUMO 化が促進される。ポリコームのPc2はコレプレッサーのCtBP1, CtBP2をSUMO化する。HDAC4はそれ自体SUMO化されるが、MEF2をSUMO化促進する。LXRβと腫瘍抑制因子HICもMEF2の SUMO化を促す。多重的なSUMO化(ポリSUMO化)はSUMO2/3でみられるがよくわかっていない。特異的なプロテアーゼによりSUMOは取り除 かれるので可逆的な反応である。
NCB(図2)SUMO化により結合するタンパク質が変換されることが重要である。
NCB(図3)低いレベルの転写因子のSUMO化は定量的な抑制につながる。
NCB(図4)酵素によっては活性化サイクルごとにSUMO化を必要とする。
NCB(図5)SUMO化は細胞内のいたるところでみられる。
TIBS図1 (a) KRABという転写因子がアセチル化されて活性化されているクロモソームに存在するとKAP1が結合する → KAP1 PHDがユビキチンリガーゼ (E3)として働き、E2酵素のUbc9を結合して、SUMOがとなりのブロモドメインに転移される。
(b) NuRDがリクルートされて、リジンが脱アセチル化される。
(c) SETDB1がリクルートされるとH3K9がメチル化される。
(d) HP1がリクルートされて遺伝子が不活性化される。

Mol Cell PHD domain-mdiated E3 ligase activity directs intramolecular SUMOylation of an adjacent bromodomain required for gene silencing Ivanov et al. Mol Cell 28 p823-837
図1 KAP1のSUMO化はPHD依存的である
KAP1/TIF1β/TRIM28(tripartitemotif containg protein28)は最大のファミリーの転写サイレンス因子で、KRAB結合ドメインをもつジンクフィンガータンパク質である。N端から RING=B1=B2=coiled coilでKRABに結合し、次にHP1結合部位、NHD、プラントホメオドメイン、ブロモドメインからなる。
A. KAP1の中のSUMO化コンセンサス配列 Ψkx(E/D) EもDも陰性荷電
B. KAP1のモデル図。黒い筋のHP1BDはHP1結合ドメイン。
C. KAP1抗体で免疫沈降したものをantiSUMO-1抗体(invitrogen mouse anti-SUM01/GMP1 monoclonal antibody)でウェスタン
D. HEK293をコントロールまたはHA-SUMO1プラスミッドでコ・トランスフェクトしてKAP1抗体でウェスタンブロットして矢印がSUMO-KAP1だという(本当か?)
E. P32SUMOを用いたin vitro SUMOylation. GST-KAP1をリコンビナントE1,Ubc9,32PSUMO1存在でインキュベーションしてクマジー染色とオートラで示した。
F. HEK293をFLAG-KAP1とT7-SUMOプラスミドでトランスフェクトした。FLAG抗体でウェスタンした。KAP1C651AというPHD破壊するとSUMOつかなくなる。
G. GST融合KAP1 RBCCHにはSUMO化活性ない
H. GST融合KAP1 NPBにはSUMO化活性がある。
図2 SUMO化サイトと抑制ドメインの一致 convergence
A. GST融合ドメインのSUMO化の観察 PHDがKからRになるとだめ。ブロモドメインのKKKがKRKかKRRになるとダメ。
B. そのときのRexA=TK-luciferase融合プラスミッドの活性化のKAP1変異体での抑制。PHDがKからRになるとだめ。ブロモドメインのKKKがKRKかKRRになるとダメ。
C. PBの変異体の組み合わせ。SUMO化サイトがなくなると抑制がなくなる。
D. T7-PGとLexレポーターを共発現。SUMO化がないと抑制できない。
E. SUMO化を阻害するタンパクのGAM1を発現すると、抑制がなくなる。
F. G.H.はNPBドメインの発現でのSUMO化と抑制の一致。
図3。PHDドメインのUbc9への結合と隣接ブロモドメインのSUMO化
A. C651をSUMO 化できなくしても、K779がSUMO化されている。
B. K779Rの変異で抑制効果はなくなる。
C. GST-PHD(下のほうのバンド)はUbc9に特異的に結合してsae1やsae2にはつかない。
D. GST-PHD(下のほうのバンド)のUbc9に特異的に結合はPHDの変異体できえる(ちょぼい)
E. ほかの類似のTIF1α、γ, sp100cのSUMO化は弱い。
F. KAP1のブロモドメインを含むPBを特異的にSUMO化する。
G. PHBでもBPHでもSUMO化される。
図4 KAP1 PHDへのUBC9結合サイトのマップ
A. KAP1-PHDのUbc9存在での変化らら結合サイトの同定
B. モデル図
C. 黄色が変異するとKAP1-Ubc9相互作用を阻害したアミノ酸
D. L653とL2の重要性
図5 KAP1のSUMO化のKRABドメインによる抑制への作用
A. PBとKRABにより特異的の抑制され、それがGAM1野生型で阻害される。
B. Myc-GAM1によるSUMO化抑制
C. GAL4-KRABの抑制のshKAP1での消失
D. KAP1の変異体での抑制の消失
図6 SetDB1とCHD3のKAP1相互作用はSIM(SUMO interaction motif)依存性
A. 酵母での増殖セレクション NPBの676番目のリジンがsetdb1とchd3(NuRD複合体の一つのタンパク)結合に大事です。
B. K676とK779が大事。酵母のSUMOタンパク質smt3pはKAP1につく。
C. SETDB1側では、113-380が大事で、そのN端側の113から136がないとだめ。
D. SUMO1だけでなくSUMO2も結合する。
E. SETDB1とCHD3の比較からSUMO interacting motifのコンセンサスを求めた。
F. Setdb1をS35標識したビーズで、図に示した大腸菌で作ったSUMO化GST融合タンパクと結合をみると、SUMO1への結合はSUMO1の変異体でなくなる。
G. 逆にSETDB1とCHD3のSIM変異体で、KAP1のSUMO化が消失する。
図7 KAP1のSUMO化は、SETDB1のターゲットプロモーターへの誘導と、酵素活性化をもたらす。
A. まずshKAP1でKAP1をつぶしたU2OS0-K4細胞に変異FLAG-KAP1を恒常的に発現する細胞で生理的発現量に近いものをセレクトした。 KAP1, p53,HP1が発現している。C2はKRADドメイン変異体で結合できないもの、M2はHP1結合できなもので核内移行異常、K6RはSUMO化できな いもの、dBはdeletion of BromodomainでSUMO化が低下。
B. SUMO1,SUMO2結合はWTで顕著
C. TKプロモーターへのKAP1によるSETDB1とCHD3の誘導。GAL4-KRABを発現するとSETDB1が集まりH3K9が増える。
D. PBドメインおよびSUMO1-PBの増加でのH3K9メチル化の増加
E. モデル

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