Transcriptome-wide
identification of RNA-Binding Protein and MicroRNA Target Sites by PAR-CLIP
Cell 141,
129-141; 2010, Markus Hatner, et. al
RIP-Chip:RNAとRBPのstableな結合に限定される。ターゲットRNAは長く、RRE(RBP
recognition element)を同定できない。
HITS-CLIP:UV 254nmのクロスリンク効率は高くはない。Noncrosslinkedバックグラウンドと区別できない。UVによるDNA damageが起こる(それに関するタンパク質が新たに発現してしまう)。
PAR-CLIP:
Photoactivatable-Ribonucleoside-Enhanced Crosslinking and Immunoprecipitation
4-thiouridine(4SU)を用いた365nmでのクロスリンク効率がUV
254nmの100-1000倍であり、タンパクとのクロスリンクで化学構造が変わるため、RTのときにAでなくGが取り込まれる頻度が高くなる。その結果クロスリンクした箇所がシークエンスでT→Cのmutationとなり同定できる。
4SUを取り込ませた細胞を用いて、365nmでクロスリンクした後、CLIPを行った。その結果、(Fig.1B)4SUを用いた365nmでのクロスリンク効率はUV 254nmの100-1000倍高いことがわかった。
まず、RNA結合タンパク質であり、結合配列が報告されているPUM2についてPAR-CLIP seqを行った。その結果、7523 clusters(3000 unique transcripts)が得られ、PUM2の結合部位は93%が3'UTR(Fig.S1A)、RREはUGUANAUAである(Fig.2D)ことがわかり、これまでの報告と一致していた。予想外なことに、70%のreadにT→C mutationが見られた。特にRRE(のU7)で多かった(Fig.2C)ことからT→C mutationはRBPと結合する場所のマーカーとなりうると考えられる。PUM2のRREでは、U1, U3のCへの変換はあまり見られないことから、crosslinkの効率が(RBPのアミノ酸との)場所によって変わることがわかった。
次に、RBPのQKI のPAR-CLIP seqを行った。QKIはKHドメインを持ち、SELEXによりその結合配列はACUAAYと同定されており、RNAのスプライシング、安定性、輸送、翻訳などに関わると考えられているが、そのターゲットはあまりよくわかっていない。QKIのPAR-CLIP seqで6000 clusters(2500 transcripts)が得られ、そのうち75%がイントロン配列であることから、スプライシングに関わるという報告を支持する結果となった。上位100クラスターからRREを割り出すとAYUAAYが同定でき、SELEXの結果と類似した結果を得ることができた(Fig.3D)。
クロスリンクとT→C変換の関係を明らかにするために、リコンビナントQKIと4SUを含むオリゴを用いてクロスリンクを行ったところ、場所によってクロスリンク効率が異なり、RRE(U2)で最も効率が良いことがわかった(Fig.3G)。(RNA-QKIの結合効率は4SUで変わらないことは確認済。)これをシークエンサで読むと、T→C変換は、クロスリンクしていない4SU含有オリゴで10-20%見られるのに対して、クロスリンクしたものは、50-80%と有意に上昇していることがわかった(Table S1)。この系では100uM 4SUをO/Nで取り込ませているが、40個のUに対して1個の割合で4SUが取り込まれることがわかっている。40ntのsequence readの場合、バックグラウンドとなるクロスリンクされていない4SUのT→C変換は5%程度であると考えられ、PAR-CLIPのsequence readのT→C変換は5%をはるかに超えており、ほとんどがクロスリンク部位を示していると考えられる。
次に、まだターゲットRNAがあまり明らかになっていない、IGF2BPについてもPAR-CLIPを行った。IGF2BPは3種類のバリアントがあり2個のRRMドメインと4個のKHドメインを持つ。PAR-CLIPで10,000cluster(8,400
transcript)が得られ、新規にRRE CAUHを同定し(Fig.4D)、クロスリンクはRREかRRE付近にあることが確認できた(Fig.4E)。さらに、IGF2BP1についてHITS-CLIPと比較すると、HITS-CLIPの8226 clusterのうち4795がPAR-CLIPと一致することがわかった。
さらに、RNPコンプレックスのAGOについてmiRNAのターゲットをPAR-CLIP seqで同定した。AGOのPAR-CLIPでは20%のT→C変換が見られ、T→C部位を中心として41ntの部位をCCR(crosslink-centerd regions)とすると、17,319 clusters84647 transcripts)が得られた。AGO複合体のTNRC6のPAR-CLIPでは、1865clusterが得られ、そのうち50%はAGO1と同じ部位であり、AGOとTNRC6が同じ部位に結合すると考えられた(Fig.S5D)。AGOのPAR-CLIPで同定したmiRNAとcell lysateから抽出したtotal miRNA、HITS-CLIPで同定したmiRNAの量比はよく相関している(Fig.5C)、AGOのPAR-CLIPで同定したmiRNAは8-13ntのTCへ変換が多く、この部位がcrosslinkしていることがわかった(Fig.5D)。
AGOのPAR-CLIPで得られた配列から7塩基でのenrichmentを調べると、miRNAのseed配列の相補配列が最も多く、その7塩基はcrosslink部位(T→C変換)の1-2nt下流で多いことがわかった(Fig.6A)。逆もそう(seed配列の近くにT→C変換が高頻度で見られる)(Fig.6B)。すなわちmiRNAのseed相補配列付近でCrosslinkしていることがわかる。
seed配列とのmismatchがあってもAGOのターゲットとなりうることから、Noncanonicalなtarget配列を検索したところ、miRNAのpositon 5にあたるターゲット部位にmismatchが見られ、Noncanonicalなtargetは全体の6.6%と少ないことがわかった。
(担当、堀内)