2010年6月10日

Transcriptome-wide identification of RNA-binding protein and microRNA target sites by PAR-CLIP.

Transcriptome-wide identification of RNA-Binding Protein and MicroRNA Target Sites by PAR-CLIP

Cell 141, 129-141; 2010, Markus Hatner, et. al

 

RIP-ChipRNARBPstableな結合に限定される。ターゲットRNAは長く、RRE(RBP recognition element)を同定できない。

HITS-CLIPUV 254nmのクロスリンク効率は高くはない。Noncrosslinkedバックグラウンドと区別できない。UVによるDNA damageが起こる(それに関するタンパク質が新たに発現してしまう)。

 

PAR-CLIP: Photoactivatable-Ribonucleoside-Enhanced Crosslinking and Immunoprecipitation

4-thiouridine(SU)を用いた365nmでのクロスリンク効率がUV 254nm100-1000倍であり、タンパクとのクロスリンクで化学構造が変わるため、RTのときにAでなくGが取り込まれる頻度が高くなる。その結果クロスリンクした箇所がシークエンスでTCmutationとなり同定できる。

 

 

4SUを取り込ませた細胞を用いて、365nmでクロスリンクした後、CLIPを行った。その結果、(Fig.1B)SUを用いた365nmでのクロスリンク効率はUV 254nm100-1000倍高いことがわかった。

まず、RNA結合タンパク質であり、結合配列が報告されているPUM2についてPAR-CLIP seqを行った。その結果、7523 clusters(3000 unique transcripts)が得られ、PUM2の結合部位は93%3'UTRFig.S1A)、RREUGUANAUAである(Fig.2D)ことがわかり、これまでの報告と一致していた。予想外なことに、70%のreadTC mutationが見られた。特にRRE(のU7)で多かった(Fig.2C)ことからTC mutationRBPと結合する場所のマーカーとなりうると考えられる。PUM2RREでは、U1, U3Cへの変換はあまり見られないことから、crosslinkの効率が(RBPのアミノ酸との)場所によって変わることがわかった。

 次に、RBPQKI PAR-CLIP seqを行った。QKIKHドメインを持ち、SELEXによりその結合配列はACUAAYと同定されており、RNAのスプライシング、安定性、輸送、翻訳などに関わると考えられているが、そのターゲットはあまりよくわかっていない。QKIPAR-CLIP seq6000 clusters(2500 transcripts)が得られ、そのうち75%がイントロン配列であることから、スプライシングに関わるという報告を支持する結果となった。上位100クラスターからRREを割り出すとAYUAAYが同定でき、SELEXの結果と類似した結果を得ることができた(Fig.3D)。

 クロスリンクとTC変換の関係を明らかにするために、リコンビナントQKI4SUを含むオリゴを用いてクロスリンクを行ったところ、場所によってクロスリンク効率が異なり、RRE(U2)で最も効率が良いことがわかった(Fig.3G)。(RNA-QKIの結合効率は4SUで変わらないことは確認済。)これをシークエンサで読むと、TC変換は、クロスリンクしていない4SU含有オリゴで10-20%見られるのに対して、クロスリンクしたものは、50-80%と有意に上昇していることがわかった(Table S1)。この系では100uM 4SUO/Nで取り込ませているが、40個のUに対して1個の割合で4SUが取り込まれることがわかっている。40ntsequence readの場合、バックグラウンドとなるクロスリンクされていない4SUTC変換は5%程度であると考えられ、PAR-CLIPsequence readTC変換は5%をはるかに超えており、ほとんどがクロスリンク部位を示していると考えられる。

 次に、まだターゲットRNAがあまり明らかになっていない、IGF2BPについてもPAR-CLIPを行った。IGF2BPは3種類のバリアントがあり2個のRRMドメインと4個のKHドメインを持つ。PAR-CLIP10,000cluster(8,400 transcript)が得られ、新規にRRE CAUHを同定し(Fig.4D)、クロスリンクはRRERRE付近にあることが確認できた(Fig.4E)。さらに、IGF2BP1についてHITS-CLIPと比較すると、HITS-CLIP8226 clusterのうち4795PAR-CLIPと一致することがわかった。

さらに、RNPコンプレックスのAGOについてmiRNAのターゲットをPAR-CLIP seqで同定した。AGOPAR-CLIPでは20%TC変換が見られ、TC部位を中心として41ntの部位をCCRcrosslink-centerd regions)とすると、17,319 clusters84647 transcripts)が得られた。AGO複合体のTNRC6PAR-CLIPでは、1865clusterが得られ、そのうち50%AGO1と同じ部位であり、AGOTNRC6が同じ部位に結合すると考えられた(Fig.S5D)。AGOPAR-CLIPで同定したmiRNAcell lysateから抽出したtotal miRNAHITS-CLIPで同定したmiRNAの量比はよく相関している(Fig.5C)、AGOPAR-CLIPで同定したmiRNA8-13ntTCへ変換が多く、この部位がcrosslinkしていることがわかった(Fig.5D)。

AGOPAR-CLIPで得られた配列から7塩基でのenrichmentを調べると、miRNAseed配列の相補配列が最も多く、その7塩基はcrosslink部位(TC変換)の1-2nt下流で多いことがわかった(Fig.6A)。逆もそう(seed配列の近くにTC変換が高頻度で見られる)(Fig.6B)。すなわちmiRNAseed相補配列付近でCrosslinkしていることがわかる。

seed配列とのmismatchがあってもAGOのターゲットとなりうることから、Noncanonicaltarget配列を検索したところ、miRNApositon 5にあたるターゲット部位にmismatchが見られ、Noncanonicaltargetは全体の6.6%と少ないことがわかった。

 (担当、堀内)