Epigenetic
Antagonism between Polycomb and SWI/SNF Complexes during Oncogenic
Transformation
Boris G. Wilson1,
5, Xi Wang1, 5, Xiaohua Shen1, Elizabeth S. McKenna1, Madeleine E. Lemieux1,
Yoon-Jae Cho2, Edward C. Koellhoffer1, Scott L. Pomeroy2, Stuart H. Orkin1, 3,
4 and Charles W.M. Roberts1,
1 Department of
Pediatric Oncology, Dana-Farber Cancer Institute, Division of Hematology/Oncology,
Children's Hospital Boston, Department of Pediatrics, Harvard Medical School,
Boston, MA 02115, USA 2 Department of Neurology, Children's Hospital Boston, Boston, MA
02115, USA 3 Howard Hughes
Medical Institute, Boston, MA 02115, USA 4 Harvard Stem Cell Institute, Boston, MA
02115, USA
要旨 ショウジョウバエを用いた研究でポリコームとSWI/SNFは拮抗的な関係を果たすことが知られている。しかし人の疾患における役割はよく知られていない。そこで本研究ではこの二つのエピゲノム制御機構が癌化に果たす役割を調べた。がん抑制遺伝子SNF5を不活化するとEZH2の発現が増加しポリコーム標的遺伝子群のK27修飾が増えて遺伝子発現が低下することをSNF5不活化したファイブロブラストと癌を用いて示した。さらにSNF5とEZH2は幹細胞関連プログラムの制御にもかかわっており、SNF5不活化はEZH2を介してこのプログラムを活性化させることを示した。またSNF5不活化マウスにおいてEZH2をさらに不活化すると腫瘍形成が抑えられることを示した。
Fig1 SNF5不活化によりEZH2発現上昇が起こることをラブドイド腫瘍株、リンパ腫、MEFを用いて示した。
Fig2 ポリコームとSWI/SNFによって拮抗的に制御されることが知られているp16 locusを用いて確認を行った。またSNF5不活化したラブドイド腫瘍株においてさらにEZH2をKDするとp16の発現が回復することを確認した
Fig3.4 ゲノムワイドな発現データ用いてGSEA解析をおこなった。ポリコーム標的遺伝子群は細胞毎に異なるが、ラブドイド腫瘍、リンパ腫、SNF5 conditional MEFいずれでもlineage specificなポリコーム標的遺伝子群が癌化とともにさらに抑制されており、少なくともこれらのいくつかはK27修飾を介して制御されていた。また幹細胞関連遺伝子群が癌化とともに発現増加していることも示された。これらの変化はSNF5不活化マウスにおいてEZH2をさらに不活化するとキャンセルされた。
Fig5 SNF5が不活化しているラブドイド腫瘍株を用いて増殖アッセイを行ったところEZH2をさらに不活化することで増殖抑制がみられた。さらにその効果は細胞老化誘導によるものであることが示された。
Fig6,7
EZH2不活化が末梢Tリンパ球分化に影響を与えないことを示した。さらにSNF5不活化で発生したリンパ腫とSNF5、EZH2両方の不活化させたものを比較した所癌化において著しい差をみた。
(担当、佐藤輝幸)