Quantitative Interaction Proteomics and Genome-wide Profiling of Epigenetic Histone Marks and Their Readers
Cell. 2010 Sep 17;142(6):967-80.
エピゲノムヒストンマークとリーダーの定量的相互作用プロテオミクスとゲノムワイドプロファイリング
トリメチルリジンは最も安定なエピゲノムマークであり、クロマチンによる遺伝子発現制御をコントロールする。これらのマークに結合するタンパク質を高精度定量質量分析装置により決定した。クロマチン「リーダー」を全長BAC-GFPタグタンパク質を使った相互作用プロテオミクスで複合体を決めた。CHIP-seqにより結合ゲノム領域を決定し機能を調べた。主な知見には次の二点がある。Sgf29のC末端ダブルTudorドメインを介して、SAGAコンプレックスがH3K4me3に結合する。PWWPドメインがH3K36meの結合モチーフと推定される。ORCコンプレックスは、LRDW1も含み、3種の最も有力な転写抑制リジンサイトと結合する。クロマチンマークの相互作用と結合するタンパク質に付いても高度に適合した相互作用を明らかにした。特別なコンプレックスによる特異的なトリメチルリジンサイトのリードは遺伝子発現制御に広く使われているようである。
図1 ヒストンペプチドプルダウンとSILACによる定量。5種のKm3ペプチド。H3K4me3とH3K36me3は活性化マーク。他は抑制マーク。
C PWWPドメインを持つものは黄色。
D−F ORC(含むLRWD1)がすべてに結合。
図2 Sgf29がSAGAとH3K4me3とを結合している。
B Sgf29ノックダウンによりSAGAコンプレックスのGNC5がプルダウンしなくなる。
図3 BAC-GFPリーダーのIP。
図4 CHIP-seq。H3K4me3、H3K36me3。
図5 抑制的ヒストンマークのリーダー。
図6 ヒストンマークのクロストークをトリプルSILACで解析。アセチル化、リン酸化との組み合わせコード。(phospho-methyl switch)
図7 結果のまとめ
解析したトリメチルのサイトをヒストン上の赤字で示す。ペプチドプルダウンで同定されたタンパク質を示す。アンダーラインをつけたタンパク質をベイトにしたIPで同定されたコンプレックスが円で囲まれている。四角は既存のコンプレックス。赤字はCHIP-seqのベイト。ヒストンマークのクロストークが緑(+)と赤(--)の矢印で示されている。Pは新たに見つかったリン酸化サイト。
図S1 図1の捕捉 SILACのデータ
図S2 図3の捕捉 GFPタグタンパク質の発現量は内在性レベル
図S3 図4の捕捉 CHIPの再現性
図S4 図6の捕捉 トリプルSILACのデータ、リン酸化(過去の論文の再解析)
Preview
Decoding Chromatin Goes High Tech
図1 (A) リーダーがアウトカムを決める。
(B)同じマークに違うリーダー。
H3K9me(図7)のリーダーのうちGATAD1は発現抑制、他は活性化。(writer/eraser cycling)
(C)違うマークに同じリーダー。
抑制マークにすべてORCコンプレックスが結合(図1)。
(担当、近岡)