2012年10月18日

EZH2 inhibition as a therapeutic strategy for lymphoma with EZH2-activating mutations

EZH2 inhibition as a therapeutic strategy for lymphoma with EZH2-activating mutations


「EZH2 activating mutation を有するリンパ腫に対して,EZH2 阻害を治療戦略とすることについて」
EZH2 は PcG タンパク質複合体を構成し,ヒストン H3 の Lys27(H3K27)をメチル化することにより,遺伝子発現を抑制する。EZH2 の過剰発現はある種の癌において,腫瘍発生や,予後不良に関係するといわれている。EZH2 の SET ドメインの Y671 や A677 残基の体細胞突然変異が,びまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫(DLBCL)や,濾胞性リンパ腫で報告され,このような変異がある場合には,H3K27me3 上昇が見られている。
今回報告する GSK126 は,S アデノシルメチオニン(SAM)と競合し,EZH2 特異的にメチル化活性を阻害する。GSK126 を投与すると,細胞株においては H3K27me3 減少がみられ,サイレンシングを受けていたPcG 標的遺伝子の発現が誘導された。また,GSK126 は,EZH2 変異を有する DLBCL 細胞株では細胞増殖を抑制し,EZH2 変異陽性 DLBCL 担癌マウスモデルでは腫瘍の growth を抑えた。
以上より,EZH2活性を阻害することは,EZH2変異陽性リンパ腫の治療戦略となりうることが示された。

担当:船田