2011年4月21日

No-nonsense Function for Long Noncoding RNAs

Cell 145, 178-181
Non coding RNA
<200, short/small ncRNAs
>200 ,long noncoding RNAs (lncRNAs)

New functions of lncRNAs
・recruit chromatin-modifying complexes to the site of transcription
・formation of nuclear compartment enriched with chromatin modifiers
・formation of nuclear structures and functional nuclear subcompartment

Fig.1A
Xistはメスの発生過程で、一方のX染色体から発現しそのX染色体の表面を覆うように結合
して、H3K27me3するPRC2をリクルートしてくることでX染色体を不活化する。
Xistの発現は、Tsix, RepAと Xcite(enchance Tsix in active X & upregulating Xist on inactive
X),  JpxとFtx(negative regulator of Tsix)のlncRNAにより複雑に調節されている。Tsixは
Xistにオーバーラップした逆向きに転写されるRNAであり、Xistの発現を抑制する。
TsixRPC2に結合することが報告されている。
Airはallele-specificなSlc22a3, S22a2, Igf2rのサイレンシングに必要であることが知られて
おり、Slc22a3のプロモーター部位に結合しH3K9 methyltransferaseのG9aをリクルートす
ることが示されている。
Kcnq1o1(Lit1)は、91kbのnon-coding RNAであり、クロマチンに結合しG9a, PRC2をリク
ルートする。

・p53により制御されるlincRNAs(long intergenic noncoding RNAs)であるlincRNA-p21は、
p53パスウェイでの転写抑制に働き、p53あるいはlincRNA-p21をノックダウンした場合は
多くの遺伝子において共通の発現変動が見られる。また、lincRNA-p21はp53パスウェイの
構成因子であるhnRNP-Kと結合していることがわかりこれを介して発現制御に関わると考
えられる。

Fig.1B
PRC2-RIPによるクロマチン修飾複合体に結合するlncRNAの解析から、PRC2に結合す
るlncRNAのノックダウンで抑制解除される遺伝子は、PRC2(EZH2,SUZ12,EED-1)のノ
ックダウンのときに抑制解除される遺伝子にエンリッチされていることがわかった。(例
:GLT2はPRC2のRNA cofactorとして、imprinted遺伝子Dlk1の発現制御に働く)
PRC2が結合しbivalent なクロマチン修飾(H3K27me3とH3K4me3)が見られる部位では、
転写と同時にヒストン修飾因子がリクルートされるモデルが考えられる。

Fig.1C
Hoxクラスターintergenic regionから発現するHOTAIRはPRC2(H3K27me3)および
LSD1(H3K4me2 demethylase)に結合する。HOTAIRがscaffoldとして働いてターゲット部
位のサイレンシングを促進する。

・enhancer部位から転写されるnoncoding enhancer RNAsは、その下流のコーディング遺
伝子の発現量と相関することが多いが、その役割はよくわかっていない。
lncRNA自体がenhancerとして機能する例もある。コーディング配列より1kb以上離れた部位にあるlncRNAでコーディング配列に見られるクロマチン修飾(5',
H3K4me3とdownstream, H3k36me3)を持つものについてknockdownを行った結果、近傍のコーディング遺伝子の発現量が減少することが報告されている。(メカニズムについてはまだわかっていない)

Fig. 1D
DEAD-box RNA helicase p68は、lncRNA SRAと結合しCTCFと複合体を形成する。
CTCF1のinsulatorとしての機能はp68, SRAに依存しており、SRAはCTCFとcohesinの結合
を安定化するのに働く。

・homeodomain ranscription factorであるDlx-5, Dlx-6の間に見られるintergenic ultraconserved region(200base以上の魚から人まで95%以上保存された配列)はlncRNA Evf-2の一部として転写されるが、Evf-2の持つ転写活性化機能に重要な部位であり転写因Dlx-2と結合することが知られている。Evf-2/Dlx2複合体はDlx5/6のenhancerに安定的結合してDlx5/6の発現を活性化すると考えられる。Evf-2はmethyl CpG-binding protein ECP2をDNAにリクルートするので、Evf-2によるpositive,およびnegativeな制御が適当なD/x5/6の発現に重要である。

・lncRNAs upregulated in iPSC 、iPS細胞誘導において重要なlincRNA
もとの細胞およびES細胞と比較して、iPSCで発現上昇の見られるlincRNAの多くは
OCT4, SOX2, NANOGが結合する近傍から転写されていることがわかった。そのうち
lincRNA-RoRをノックダウンするとiPSCのcolony formationが低下することが確認でき
た。(lincRNA-RoRをノックダウンすると、p53の制御する遺伝子などが上昇することか
らlincRNA-RoRはiPSCのサバイバルに関係していると考えられる。)

・paraspeckleをつくるlncRNA
Men e/b (NEAT1)。Nascent Men e/bのみparaspeckleを形成することが報告されており、
新たにNEAT1が合成された箇所にすばやくparaspeckle複合体を形成できるという利点が
あるかもしれない。

(担当:堀内)