2010年7月13日

ROBO1タンパク質の切断機構と細胞核移行

ROBO1は、軸索誘導においてSlitの受容体として機能し、細胞が反発する方向にシグナルを伝える。2006年にItoらは、ROBO1がヒト の肝細胞癌において発現量が亢進することを報告した。この報告の中で、ROBO1の細胞外ドメインが血清中や細胞株の培養上清中から検出されていたが、切 断部位は決定されていなかった。

今回、我々は、ROBO1タンパク質の切断部位を同定した。また、ROBO1が金属プロテアーゼとγ-セクレターゼによる二段階切断を受け、129 kDaのROBO1-CTF1と118 kDaのROBO1-CTF2という二種類のC末端断片を産生することを明らかにした。さらに、ROBO1の一部が細胞核に蓄積し、これが金属プロテアー ゼやγ-セクレターゼの阻害剤で抑制されることを示した。

これらのことから、ROBO1は切断を受け、細胞核へ移行することで、単純な受容体以外の機能も有する可能性が考えられた。

以上の知見をFEBS Letters誌にて発表した。


Seki M, Watanabe A, Enomoto S, Kawamura T, Ito H, Kodama T, Hamakubo T, Aburatani H.
Human ROBO1 is cleaved by metalloproteinases and γ-secretase and migrates to the nucleus in cancer cells.
FEBS Letters. 2010 Jul 2; 584 (13) 2909-15.

PubMed
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