2010年4月28日

The Histone Chaperone Nap1 Promotes Nucleosome Assembly by Eliminating Nonnucleosomal Histone DNA Interactions

The Histone Chaperone Nap1 Promotes Nucleosome Assembly by Eliminating Nonnucleosomal Histone DNA Interactions 

Andrew J. Andrews, Xu Chen, Alexander Zevin, Laurie A. Stargell, Karolin Luger
Molecular Cell, Volume 37, Issue 6  834-842, 26 March 2010


真核生物の遺伝子発現はヌクレオソーム構造により制御される。ヌクレオソーム形成のダイナミックスは、転写か、ヌクレオソームの圧縮かを決める。しかし、どの程度の自由エネルギーが必要かは驚くほどわずかにしかわかっていない。そこで熱力学的パラメーターを検討したのが今回の論文である。

 

H3K56のアセチル化は、酵母ではRtt109で、ヒトではP300DNAのエントリーと出口に近いため転写活性化に重要である。この修飾は、ヌクレオソームの脱アセンブリーをうながす。

 

ヌクレオソームのアセンブリーは、次の順番でおこる。

1)DNAH3H4と作用して、DNA-(H3H4)2が形成される。

2)これにH2AH2Bが結合して古典的なオクタマーが形成される。

これにはヒストンシャペロンがかかわる。そのうちの酵母のNap1H2A-H2Bダイマーと、(H3-H4)2テトラマーに結合し、in vitroのヌクレオソームアセンブリーにももちいられるが、どのように働いているか不明である。図1にNap1DNAの可能性のある相互作用と平行定数K1-K4,K6を図式化してある。

 

生理的条件下ではヒストンはDNAと強い結合を示すため解析が難しい。蛍光標識したヒストンのテトラマー変化による変化か、FRETで検討した。

図2A H3H4DNAの結合はタイト(1nM)で、Nap1DNAの結合の10倍強い。

2B H2AH2BNap1の結合は、FRETでみると、生理的には五分五分であり、(自由と、結合が)、テトラマーが加えられるとFRETが低下する。

2C Nap1-H2AH2B(H3H4)2テトラマーの競合をFRETでみて適切な平衡定数をえた。

 

表1次にDNAの配列の影響をみた。S5とヌクレオソームと強い結合を示す601配列を比べるとΔΔG0-601-0.7kcal/molであった。

 

図3 H3K56アセチル化は、H3Nap1の親和性はかわりないがDNAの結合は、ΔΔGH3K56ac1.8Kcalであり、1/15に弱くなる。しかし一度DNAが多い条件下でH3K56(H3H4)2テトラソームを形成すると、ヌクレオソームの安定性は変わらなくなる。このことは、H2AH2Bダイマーがなくなると、テトラソームは不安定になる。

 

H2AH2BDNAの親和性は高い親和性で結合するため、カノニカルなオクタマー形成にH2AH2B-DNA複合体は邪魔になる。

図4に示すのはNap1DNA-H2AH2Bダイマーとどう相互作用するかである。△が5SDNAで■が601配列である。この図4ACを比較すると、Nap1があるとDNAH2AH2Bの結合ができにくくなることがわかる。

図4Bをみると、H2AH2BDNAと結合しているとNap1をいれても関係ない。

図5はNap1がないと、染色体DNAH2AH2Bの結合我増えるがH3の結合が減る事がわかる。

 

図6をみるとNap1がないと、転写活性化がより活発におこり抑制されやすいことがわかる。これらのことをみていくと、ヌクレオソーム形成は転写を抑制していることがデフォールトで、それがはずれると転写が増えるように思われる。古典的ヌクレオソーム以外の形でDNAH2AH2Bが結合すると転写はおこりやすくなる。

 

 (担当、児玉)