2010年1月11日

子宮体癌の遺伝子変異の統合的解析

子宮体癌における遺伝子変異としては染色体不安定性(CIN)あるいはマイクロサテライト不安定性(MSI)が生じることが知られています。ゲノムサイエンス研究室では東大病院産婦人科との共同研究で31例の子宮体癌についてSNPアレイを用いた染色体変異の網羅的解析およびMSI解析、Ras-PI3K経路の遺伝子変異の解析を行いました。CINが著しい腫瘍ではPTENあるいはNF1に高頻度に欠失が認められるもののMSIの頻度は低く、多変量解析により予後不良に関する独立因子であることがわかりました。一方、MSI陽性の腫瘍にはPTEN,PIK3CA, K-Rasに変異が生じていました。ゲノム変異のタイプにかかわらず、Ras-PI3K経路の変異は子宮体癌において高頻度であり、CINは有用な予後マーカーであることが判明しました。

Oncogene誌に1/11オンラインで掲載されました。

Murayama-Hosokawa S, Oda K, Nakagawa S, Ishikawa S, Yamamoto S, Shoji K, Ikeda Y, Uehara Y, Fukayama M, McCormick F, Yano T, Taketani Y, Aburatani H.
Genome-wide single-nucleotide polymorphism arrays in endometrial carcinomas associate extensive chromosomal instability with poor prognosis and unveil frequent chromosomal imbalances involved in the PI3-kinase pathway.
Oncogene. 2010 Jan 11.

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PubMed