2010年1月28日

Genome-wide analysis of PTB-RNA interactions reveals a strategy used by the general splicing repressor to modulate exon inclusion or skipping.

Mol Cell. 2009 Dec 25;36(6):996-1006.
Genome-wide analysis of PTB-RNA interactions reveals a strategy used by the general splicing repressor to modulate exon inclusion or skipping.
Xue Y, Zhou Y, Wu T, Zhu T, Ji X, Kwon YS, Zhang C, Yeo G, Black DL, Sun H, Fu XD, Zhang Y.

Polypyrimidine tract-binding proteinであるPTBはスプライシングリプレッサーとしてよく知られているが、PTBのノックダウンによりexonのinclusion、skippingともに変わることが知られている。今回著者らはCLIP-seqによりPTB結合部位をゲノムワイドに調べた。その結果、競合するconstitutive splice site近傍に結合する場合はexon inclusionに、alternative exon近傍に結合する場合はexon skippingに働く傾向が明らかとなった。

Fig.1 (A)PTBはdimerとmonomerで存在する。UVでdimerが増える。RNAは介していない。DTTでmonomerになるのでジスフィド結合である。Fig.S1 CLIPするとdimer, monomerともにRNAが結合していることがわかった。両方をCLIP-seqへ。Fig.1(B)monomer, dimer結合RNAはoverlapし、monomer, dimerで結合するRNAに違いはないと考えられた。(C)PTB結合モチーフの同定。UUCUCU。Fig.S6A 83.56%のクラスターがtop20のモチーフを少なくともひとつ含む。Top 20から得られたコンセンサス配列はUYUYU。今回得られたPTB結合部位の90%は予測プログラムで同定できるが、予測される結合部位は500万箇所あるので、実際今回同定した結合部位はその1%程度であり、PTB結合部位の予測は難しいと考えられる。また、A/G-rich配列は圧倒的に少なく、PTBがsingle strandに結合していることがわかる。

Fig.2(A)PTB結合部位のゲノム上での分布は、イントロンが多く、pre-mRNAに多く結合していることがわかる。(B)結合部位間の距離は1k-10kが56.5%で43.5%が1k以内である。Table 1 PTB結合部位が既知のオルタナティブスプライシング部位とリンクしているか見ると、カセットエクソン(エクソンがskipするかinclusionするかのオルタナティブスプライシング)が一番多い。(C-E)nPTB(オルタナティブエクソンEx10の両サイドに結合), TPM2(mutually exclusive exonと、alternative poly(A)両方に結合, PKM2(前回の勉強会hnRNPとPKM2の論文参考。オルタナティブエクソンEx9上流のイントロンに結合)(F)オルタナティブスプライシングとPTB結合部位のパターン。オルタナティブエクソンの両側よりもどちらか片方に結合することが多い。5'または3'スプライス部位の調節に働くときはよりイントロン寄りに結合して阻害することで、遠位のスプライシングを促進する。

Table S1 新規および既知のオルタナティブスプライシングにPTBが関与するかRNAiにより調べた結果、PTBはexon skippingにもinclusionにも働くことがわかった。PPTBによるスプライシング抑制(exon skipping)はよく知られているので、exon inclusionに着目した。Fig.3 (A&C,lane1)CTTNのminigeneを作成して、PTBによるオルタナティブスプライシング制御を解析した。(C,lane1&5)PTB/nPTBをノックダウンするとexon inclusionが減少する。→PTB/nPTBによりexon inclusionが起こる。(lane2~4)PTB1, PTB4, nPTBでrescue実験すると、PTB4で完全に、nPTBでかなりrescueできる。一方さらに過剰に発現させてもexon inclusionが増えることはなく(data not shown)、他の因子も関与すると考えられる。PTB4とPTB1はスプライシングバリアントで、PTB4はexon9を含み、より活性が強いことが知られている。(lane6)PTB結合部位のdeletion reporterを使うと、lane5と同程度みexon inclusionが減少し、PTBによるrescueも見られない。

Fig.4 PTB結合パターンとexon skipping, exon inclusionの関係について。(A)exon skipping, (B)exon inclusion。Exon skippingでは、aternative exon近傍に結合する傾向があり、加えてイントロンに複数結合するパターンもある。Exon inclusionでは、alternative exonよりcompeting constitutive exon近傍に結合するパターンが見られる。そこでPTBのpositionとスプライシングの関係(skipping, inclusion)を統計的に見ると、Fig.5 PTBはpolypyrimidine tract binding proteinなので3'ssに結合することが多いと思われたが、実際には3'ssに同頻度に結合していることがわかった。また、exon skippingはオルタナティブエクソンの近傍に、exon inclusionはcompetitive constitutive splice siteの特に3'ssに多く結合することがわかった。

Fig.6 PTBによるexon inclusionのメカニズムについて、SIRT1 E6を含んだミニジーン(スプライシングレポーター。配列を加えてスプライシングの変化を見るのに用いる)に、PTB結合配列を加えてアッセイを行った。(B)PTB結合配列を加えることでexon inclusionが増える。(C) Bで見られたinclusionの増加は、shPTB/nPTBにより消える。(D)PTB/nPTB過剰発現によりexon inclusionが増大。

以上よりPTBによるexon inclusionはconstitutive 5' または3' の近位に結合しスプライシングを阻害することで制御されていると考えられた。