2009年12月10日

血管内皮細胞の中心的な活性化因子の発見

内皮活性化(endothelial activation)は血管恒常性に寄与する重要なイベントであるが、病的環境下では内皮自身の機能不全をもたらし、生活習慣病の根底にある炎症、動脈硬化、腫瘍進展を誘発する。

LSBM血管グループの大学院生 (現 特任研究員)末弘らは内皮活性化のkey regulatorを探索すべく、VEGF、 Thrombin、TNF-α を作用させた臍帯静脈内皮細胞を用いてトランスクリプトーム解析を行い、early growth response(Egr)転写因子ファミリーであるEgr-1、Egr-3が誘導されることを見出した。なかでもEgr-3はVEGFを介した内皮活性化(増殖、遊走、管腔形成、単球接着)において中心的役割を果たし、Egr-3の発現を阻害することで、マウスにおける病的血管新生、固形腫瘍進展を抑制できることを明らかにした。

Blood. 2009 Nov 23. [Epub ahead of print]
Vascular endothelial growth factor activation of endothelial cells is mediated by early growth response-3.
Suehiro JI, Hamakubo T, Kodama T, Aird WC, Minami T.

PubMed