2009年11月 4日

The nuclear envelope and transcriptional control

The nuclear envelope and transcriptional control

Nuclear envelopeは単に核を構成しているだけではない。
積極的にクロマチンや転写因子、その他の因子と相互作用することで、遺伝子発現を制御していることが最近分かってきている。

Fig.1
Heterochromatin in mammalian and yeast cells is distinct from nuclear pores.
A,B
Mammalianのliver nucleusの電子顕微鏡写真
heterochromatin領域は核膜の内側に集まっており、nuclear poresとは位置が重ならない。

C: yeast
HeterochromatinのマーカーであるEsc1 (enhancer of silent chromatin 1; labelled green)と、nuclear poresのマーカーであるNup49 (nucleoporin 49)との共染色。お互いに重ならないのが分かる。

D,E
電子顕微鏡写真。黒いドットはmycタグのついたEsc1。矢印はnuclear poresを示す。

Fig.2
The nuclear periphery in metazoans and yeast.
真核生物では核はinnerとouterの2重膜によって細胞質とは隔てられている。この2重膜に埋め込まれる形で核膜孔(nuclear pores)が存在する。核膜孔はおよそ30のタンパク質から成るNPC (Nuclear Pore Complex)という複合体である。

A: yeast
Esc1はinner membraneと相互作用し、核膜の内側に存在する。ただし、nuclear poresとは共在しない。また、heterochromatin構成タンパク質であるSir4と相互作用してheterochromatin形成を担う。

B: metazoan
Inner membraneはlaminとその相互作用タンパク質であるlamin associated proteinsに裏打ちされている。これらはinactive chromatinと相互作用することが知られている。ただし、最近の報告では遺伝子発現において抑制的な作用だけではなく、活性化にも寄与していることが分かってきた。

Fig.3
Yeastでは、nup133遺伝子にmutationを加えると、nuclear poresが核内の一方向に偏る。これはtelomereの位置に影響を与えない、つまりtelomereの位置はnuclear poresとは無関係に決定されている。

Fig.4
転写とカップルしたRNA exportがNPC近傍で起こっているモデル図。
NPCは直接的に、また間接的にも転写を制御している。
全ての遺伝子がこのモデルに従うわけではないが、発現量のfine-tuningが必要ないくつかの遺伝子はこのモデルに従う。

Nup1と相互作用するSus1は、chromatin remodeling因子であるSAGA complexに含まれ、またmRNA exportに関与するTREX complexにも含まれる。
Nup2はactive geneのpromoterと相互作用することでactive geneをNPCに引き寄せる
Mlp1 (NPC associating protein)はmRNAの3'UTRと相互作用することでRNA exportに関与する。
つまり、NPC-tethering of an initiation complexと、mRNA processing complex (associated with the 3'UTR)を同時に行うモデルにおいて、遺伝子発現量のfine-tuningを行っている。
不良品のRNAが生成された際には、すぐに転写をactivateできるように一つのシステムとなっている。
また、Nup2はH2A.Zとも相互作用する。

こういったシステムはflyではちょうど2倍の発現量が必要となるdosage compensationの際には重要であることが示されている。