2009年11月 9日

自然免疫応答の万能監視役を発見

自然免疫応答では核酸を認識する機構が働いています。このたび、東京大学医学部免疫学研究室の谷口維紹教授らの研究グループとの共同研究で核酸を介する自然免疫応答における万能の監視役として働くタンパク質を同定し、Nature 462, 99-103 (11月5日号) に掲載されました。

質量分析計をもちいたタンパク質の同定は東京大学先端科学技術研究センターで行い、機能解析は谷口教授らのグループにより行われました。 同定されたタンパク質は、HMGB (high-mobility group box)1-3であり、そのタンパク質のノックアウトマウス細胞およびノックダウン細胞では、さまざまな免疫応答が低下していることが明確に示されています。 HMGBが認識する核酸の特異性が低いにもかかわらず、結合の後に起こる核酸認識受容体の活性化に選択性が見られることから、この経路は万能の核酸認識機構であると考えられ、免疫応答活性化における階層構造の存在を示唆しています。 HMGBが免疫学的疾患の治療ターゲットとして期待されます。

PubMed

Journa website (Nature.com)