2009年7月14日

Polycomb Mediated Epigenetic Silencing and Replication Timing at the INK4a/ARF Locus during Senescence

エピゲノム勉強会7/14/2009
Polycomb Mediated Epigenetic Silencing and Replication Timing at the INK4a/ARF Locus during Senescence
Hanane Agherbi1., Anne Gaussmann-Wenger1., Christophe Verthuy1, Lionel Chasson1, Manuel
Serrano2, Malek Djabali1*
1 Centre d'immunologie INSERM-CNRS de Marseille Luminy, Marseille, France, 2 Spanish National Cancer Research Center (CNIO), Madrid, Spain
May 2009 | Volume 4 | Issue 5 | e5622

図1:Analysis of Polycomb EZH2, M33 and BMI1 binding at the INK4a/ARF region.
老化した細胞では、INK4a, ARFの発現が上がっており、これを抑制すると考えられるPRC2のcomponentであるEzh2が低下している。一方PRC1のBmi1は代わりがない。PRC1のM33, Bmi1を欠損した細胞では、老化細胞と同様の発現パターンが認められる。
さらにINK4a/ARF領域のRD (DNA replication origin)やexon1b, 2には若い細胞でEZH2が多く結合しているのに対し、老化した細胞での結合量が低下し、抑制効果が外れていることが示唆される。

図2:Loss of EZH2 binding and H3K27me3 methylation at the INK4a/ARF locus during senescence.
老化細胞では、RDにおけるH3K27me3マークが消失している。M33, BMIを欠損した細胞では、exon 1bにおけるH3アセチル化が増加しており、その様子は、HDAC阻害剤で処理したかの様である。

図3:Recruitment of MLL1 at the INK4a/ARF locus during senescence.
PRCに加えてTrx-G/MLLの分布とその結果起こることが予想されるH3K4me3の増加を同じ領域で見ると、MLL1は若い細胞でexon 1b, exon2に結合しているのに対し老化細胞とPRC mutantsではさらに多くのMLL1が結合している。にも関わらず
H3K4me3の量に変化がなく、老化細胞にも若い細胞にも同程度に存在していた。
一方H3K27me3の脱メチル化酵素である、Utxの発現量に変化はなかったが、Jmjd3は老化細胞で誘導されていた。
Jmjd3の増加とEzh2の低下がINK4/ARF locusの老化における活性化の原因と考えられた。

図4:BMI1 interacts with CDC6 and is required for CDC6 repressing function.
Replication complexの一部であるCDC6とPRC1の一部であるBMI1が強制発現の実験でも、thymocyteを使った実験でも免疫沈降で共沈してきた。さらに、BMI1がCDC6によるInk4a/Arfの抑制に必要であることを確かめるために、野生型とBmi1欠損のMEFにCDC6を強制発現してArf, Ink-4aの発現抑制効果を見たところ、Bmi1がないとCDC6による発現抑制効果が失われたので、CDC6によるInk4a/Arf locusの抑制にはPRCが必要であることがわかった。

図5:INK4a/ARF timing of replication.
若い細胞ではK4me3とK27me3が共存しているいわゆる"bivalent domains"として見いだされた"replication switch"がoffなので、exon 1bがlate replicatingだが、老化した細胞や、PRC1のmutantではswitchがonなので、early replicatingになっている。

図6:Model for Pc-G and MLL1 proteins in regulation of cellular senescence at the INK4a/ARF locus.
Polycombの変異体をつかうとreplication timingの変化が起こることから、
MLL1とPRCは、領域がactiveのときとsilenceされているときで図に示すようにヒストン修飾を介して協調的に遺伝子の転写を制御していることが明らかになった。

(和田洋一郎)