2009年6月30日

hnPNP and PCAF

The histone acetyltransferase PCAF associates with actin and hnRNP U for RNA polymerase II transcription.

Obrdlik A, Kukalev A, Louvet E, Farrants AK, Caputo L, Percipalle P.

Mol Cell Biol. 2008 Oct;28(20):6342-57.

 

アクチンは、RNAPII転写のキーレギュレーターであることが知られている。

hnRNPsとの特異的な複合体を形成することでアクチンは初期転写産物の伸長の間に、RNAPII活性化補助因子をリクルートするために機能することが提唱されている。本論文において、著者らはアフィニティークロマトグラフィー、タンパク質-タンパク相互作用アッセイと核抽出液の生化学分画とによってヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)PCAFがアクチンとhnRNP U と相互作用していることを報告している。DNase I結合タンパク画分中に検出されるPCAFおよび核アクチンに関連したHAT活性はアクチン-hnRNP U複合体の崩壊によって解除することができる。さらに、アクチン、hnRNP U、およびPCAFが、Ser2/5-あるいはSer2がリン酸化されたRNAPIIのカルボキシ末端領域構造物と結合しているとわかった。クロマチンおよびRNA免疫沈降法により、アクチン、hnRNP U、およびPCAFが構成的に発現しているRNAPII制御遺伝子のプロモーターおよびコード領域に存在しており、そして、それらがRNPタンパク質複合体と結合していることを証明した。最後に、アクチン-hnRNP U相互作用の崩壊は生細胞でのブロモウリジン三リン酸の取り込みを抑制した。すなわち、アクチンとhnRNP UとがRNAPII転写伸長の制御においてPCAFと協調的に作用していることが示唆される。

Fig. 1 PCAFがアクチン-hnRNP Uと結合する。

(A) DNase Iアフィニティークロマトグラフィーの結果から、PCAFは核内のアクチンと結合する。(B) PCAF抗体を用いたHeLa核抽出液からの免沈。(C) hnRNPコンストラクトの模式図。(D) pull-downアッセイ。(E) b-actin抗体を用いた内在性タンパクの免沈。

Fig. 2 hnRNP抗体CED17の特徴付け。

(A) HeLa細胞核抽出液を用いたイムノブロット。(B) CED17を用いた免沈。(C) CED17のエピトープはC末。(D) CED17を用いた核染色。

Fig. 3 アクチン-hnRNP U複合体の崩壊によるPCAFの解放。

(A) CED17添加時のDNase Iアフィニティークロマトグラフィー。(B) hnRNP U-Cを用いたpull downアッセイに及ぼすCED17の影響。(C) CED17を用いた内在性タンパクの免沈。

Fig. 4 actin, hnRNP U, PCAF, およびpol IIが一部複合体を形成する。

(A) ゲル濾過フラクションのイムノブロット。(B) CED17が複合体形成に及ぼす影響。(C) nonspecific抗体の複合体形成に及ぼす影響。

Fig. 5 actin-hnRNP U複合体の崩壊はHAT活性を低下させる。

核抽出液を抗体とpreincubationした後、DNase Iアフィニティークロマトグラフィーにて精製し、結合タンパク中のHAT活性を測定。

Fig. 6 actin, hnRNP U, PCAFはリン酸化されたpol IIのCTDと結合する。

(A) S-tag CTDコンストラクトの模式図。(B) リコンビナントCTDをprotein S-agaroseに結合させた後、cdk7およびcdk9にてCTDを処理してリン酸化させた。

Fig. 7 actin, hnRNP-U, PCAFのChIP解析。

TSA処置ありまたは処置無し細胞をクロスリンクした後、各抗体にて免沈しPCRにて確認。

Fig. 8 actin, hnRNP-U, PCAFのpromoterおよびcoding regionの相対的占有率。

(A) TSA非添加条件。(B) TSA添加条件下。

Fig. 9 promoterおよびcoding regionの相対的占有率。

Fig. 10 actin, hnRNP U, PCAFはnascent RNP複合体と相互作用する。

(A) 核内中のアクチンの分布。(B) RIP解析。

Fig. 11 In vivoでのactin-hnRNP U相互作用の崩壊によってpol IIによる転写活性が抑制される。

(A) CED17を核に注入するとBrUTPの取り込みが低下する。(B) BrUTP取り込み阻害活性は、TSA処理することによって打ち消される。

Fig. 12 actin, hnRNP U, PCAFのcoding領域への結合はpol II CTDのリン酸化に依存している。

(A) coding領域のChIPに及ぼすCDK inhibitor DRBの影響。(B) active geneへのactin, hnRNP U, PCAF, pol II CTDの結合に及ぼすDRBの影響。(C) H3K9アセチル化に及ぼすDRBの影響。

Fig. 13 モデル図

(A) 転写開始時にはactinとhnRNP Uは恐らくコンタクトしていない。(B) 転写が開始され、actinが高リン酸化されたCTDを介してリクルートされ、hnRNP Uと複合体を形成すると、PCAFのリクルートメントが促進されてpol IIの伸長が亢進される。

 

(田中)