2009年6月30日

GlcNAcylation of a histone methyltransferase in retinoic-acid-induced granulopoiesis

GlcNAcylation of a histone methyltransferase in retinoic-acid-induced granulopoiesis

Nature (2009) Vol. 49, 455-459

Fujiki R, Chikanishi T, Hashiba W, Ito H, Takada I, Roeder RG, Kitagawa H, Kato S

 

Figure 1 a: HL60細胞はレチノイン酸(RA)に反応して顆粒球に分化する。分化した顆粒球は、CD11bが陽性になる。

b:未分化のHL60細胞をレチノイン酸で分化誘導したとき、GST-RARalpha(リガンド結合ドメイン)のレジンでRA誘導性のRARコンプレックスを解析した。

C:MLL5タンパクには、full length(MLL5Full)とshort form(MLL5)があり、RARalpha抗体でIPしたwestern blottingの結果、MLL5のみがinteractionしていた。d:RA

依存性のRARE luc assayを行ったところ、MLL5で、luc inductionを認めた半面、setドメインのデリーションやミューテーション、MLL5Fullでのinductionは認めなかった。

e: 同様にHKMT(ヒストンリジンのメチルトランス活性)は、H3K4のリジンをアラニンにすることで、RA依存性の活性はH3(1-21)に比較して低下した(HL60-R2は、RAへの反応性の悪い細胞をライン化したもの)。

Figure 2 a,b&c:Flag tagged MLL5を用いて、HL60の核抽出液をaffinity purifyしてゲルろ過クロマトグラフィーを用いて分子量ごとに分析した。その結果、HKMT活性のあるMLL5-L complex(18-24分画) と活性のないMLL5-S complex(30-32分画)に分けられた。

d:上記分画について、H3tailをsubstrateにして、HKMT活性を測定したところ、H3(1-21) tail特異的にMLL5-L complexが活性を有していた。e:MLL5-L complexはMLL5-S complexと比較して、特異的にHCF-1NやOGTを含んでいた。OGTはWGAに結合することが知られているためWGAカラムで生成したものについても検討して、より明確な結果を得た。f:substrate prefrerenceを検討したところ、H3 NucleosomeはMLL5-L complexの場合のみでメチル化していた。 g:さらに、H3 tailについて検討したところ、(1-21)に特異的なHKMT活性を認め、そのうち、K4A mutantでは活性が低下したのに反して、K9Aでは影響が認められなかった。このK4のメチル化活性は、モノメチルの場合に認められた。h:その結果をMALDI-TOF/MSで確認した。i:さらにwestern blotting法でも同様の結果が得られた。

Figure 3 a:OGTがlarge complexにのみ含まれていることに関連して、OGTがGlcNAc transferを調節してcomplexを活性化させている可能性を考え、検討した。MLL5-L complexでは、GlcNAcylated Ser/Thr residue抗体での反応を認める。b:更に、O-GlcNAc化の変化でHKMT活性が認められることを確認した。(UDP-GlcNAc; O glycosyl donor, UDP GalNAc; decoy, O-glcNAcase; GlcNAcylationを外す)。その結果、GlcNACylatedの(糖鎖修飾のある)場合にHKMTの活性上昇が認められ、逆にGlcNACylateionが外されている場合は、その活性がほとんど認められなかった。c:MLL5のSET domainについて、すべてのSer/Thr residueをAlaninにmutationすることで、GlcNACylationを検討したところ、T440Aで明らかに弱くなっていた。この部位は、ヒトとハエで保存されている反面、ほかのMLLには認められない。d:UDP GlcNAcによるHKMTの活性化をそれぞれのmutantについて検討した。e:また、MLL5のGlcNAcylationの程度とHKMT活性が、核内のUDP GlcNAcのレベルに比例していることが確認された。(DONとAZAは、グルコースが核内に移行してGlcNAc量を増やすことを阻害する。)

Figure 4 a:HL60細胞の分化の程度をフローサイトメトリーで検討したところ、PUGNAc(GlcNAcaseの阻害剤で、核内タンパクのGlcNAcylationをinduceする)処理で分化が進む反面、DONやAZAでは低下した。b:また、HL60-R2細胞では、PUGNAcがRAへの反応性を正常方向にもどした。c:同様の結果は、western blottingでH3K4のメチル化を検討した場合にも認められる。d:また、HL60-R2細胞では、GlcNAcが少なく、O-GlcNAcaseが多いということが分かった。e:HL60の分化に関わることが知られているCEBPEのmRNAレベルについても、MLL5とOGTが必要であり、MLL5Fullのミュータントは発現に影響を与えなかった。f:フローサイトメトリーの検討でも同様に、HL60の分化はMLL5とOGTそれぞれのshRNAによって低下したものの、MLL5Fullのミュータントは発現に影響を与えなかった。g:最後に、MLL5とそのミュータントのoverexpressionを行った系を用いて検討したところ、HL60の分化はRAとGlcNAcase inhibitorによって促進していた。

(稲垣)