2009年3月24日

要旨(3)G9A阻害薬の解析

Structural basis for G9a-like protein lysine methyltransferase inhibition by BIX-01294.
Chang Y, Zhang X, Horton JR, Upadhyay AK, Spannhoff A, Liu J, Snyder JP, Bedford MT, Cheng X.
Nat Struct Mol Biol. 2009 Mar;16(3):312-7. Epub 2009 Feb 15.

ヒストンのリジンのメチレーションは、遺伝子発現およびクロマチン機構を制御する重要なエピジェネッティックマークである。
G9aとG9a-like protein (GLP) はユークロマチンにかかわるメチル化酵素であり、ヒストン3
リジン9をメチル化することにより転写の抑制を行っている。
BIX-01294は低分子化合物スクリーニングにおいて当初、G9a阻害剤として同定された化合物である。また、以前から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を産生する際に使用されている薬剤でもある(Oct3/4の代わり)。

ここでは、BIX-01294とS-adenosyl-L-homocysteineとが結合したGLPのSETドメインの結晶構造解析を報告する。
1.阻害剤は基質ペプチドが入るGLP SET domainの溝に結合する。
2.その場所はヒストンH3K9よりものN末側の部分が入り込む部分である。
3.阻害剤の結合はヒストンH3K4からA8の結合時と似た形になっている。
4.また阻害剤は特異的相互作用によりG9aとGLPに対し特異的な残基近くに位置することになる。(BIXのG9aとGLPへの特異性)

(杉山)