2009年3月24日

酵母遺伝子調節ネットワークの複雑性の解析

Nature genetics 40 856 2008

Integrating large-scale functional genomic data to dissect the complexity of yeast regulatory networks

Jun Zhu 1, Bin Zhang 1, Erin N Smith 2,3, Becky Drees 4, Rachel B Brem 5, Leonid Kruglyak 2, Roger E Bumgarner 4 & Eric E Schadt 1



タイトル:
大規模機能ゲノミクスデータを融合して酵母遺伝子調節ネットワークの複雑性を解析する

要約:
生物学の大きな目的は、複雑な系のふるまいを予測するようなネットワークを構築することにある。
今までになされた、多くの酵母の実験により得られた遺伝子型、遺伝子発現、転写因子結合部位(TFBS)、タンパク質間相互作用など、複数のタイプの分子データを組み合わせ、生命現象の原因となる遺伝子ネットワークを再構築した。さまざまなタイプのデータにもとづくネットワークに対して、それらの予測能力を評価できるような指標を考案し比較を行った。遺伝子型や転写因子結合部位および
タンパク質間相互作用のデータを融合させて再構築したネットワークが最も予測能力が高いことを示す。このネットワークを用いて、独立した酵母の集団において、遺伝子発現活性のホットスポットに関与する原因制御因子を予測した。また、原因制御因子が遺伝子発現活性のより大規模な変化を引き起こすメカニズムについても、このネットワークが有効であることを示す。適切な型のデータを複数組
み合わせ予測ネットワークが構築されうることをあらかじめ実験的な証拠から予測が正当であることを確認する。

(井原)