2008年12月22日

miRNAとES細胞のコア転写サーキットの関係

MiRNAとES細胞のコア転写サーキットの連関

 

Connecting microRNA Genes to the Core Transcriptional Regulatory Circuitry of Embryonic Stem Cells

Cell  134 Pages 521-533 2008 aug 8
Alexander Marson, Stuart S. Levine, Megan F. Cole, Garrett M. Frampton, Tobias Brambrink, Sarah Johnstone, Matthew G. Guenther, Wendy K. Johnston, Marius Wernig, Jamie Newman, J. Mauro Calabrese, Lucas M. Dennis, Thomas L. Volkert, Sumeet Gupta, Jennifer Love, Nancy Hannett, Phillip A. Sharp, David P. Bartel, Rudolf Jaenisch, Richard A. Young

 

概要   miRNAはES細胞の自己複製と分化の制御の鍵となる。しかし、miRNAの転写制御機構は不明である。ChIP--seqデータからプロモーターと短いRNAを同時に解析した。鍵となる転写因子がmiRNAのプロモーターに結合している。これらが結合しているmiRNAはES細胞で働いているものが多いが、サイレンスされているものはポリコームが共在していて分化特異的に制御されている。

(論文自体はデータベース的なものだが、方法論などsupplemental informationが詳しい)

 

イントロ

大きなRNAから切断して作られる成熟したmiRNAは転写後の発現抑制にきく

miRNAは、細胞内のかなりのRNAの発現量を支配している。 

ES細胞で高発現するmiRNAがある。

ダイサー欠損マウス/miRNAプロセッシング酵素欠損細胞は分化、増殖できない。

目的 今までは既知の遺伝子近傍での探索が中心でゲノムワイドにどれくらいあるかわかっていない。そこでES細胞(コントロールとしてNPC = neuronal precursor cellとMEF)でのコア転写因子Oct4, SOX2, NANOG, TCF3の結合サイトを計画的に探索し、miRNAを探索した。

 

図1 A. Oct4, Sox2, Nanog, Tcf3の結合がある14230サイトを、promoter proximal(TSS+-8kb)Genic(>8kb) Intergenicにわけている。

B. 4つが共局在していることを示すSox2の領域での結合(青、紫、オレンジ、薄紫)局在部位は200bpにマップされ、25bp範囲(bin)ごとにスコア化されている。

図Bの3つの領域での4つの転写因子の結合の詳細。モチーフはoct4/sox2結合モチーフ

 

図2 miRNAプロモーターの同定

アルゴリズムは、H3K4me3結合サイトから、miRNA存在部位の、5kb以内(+)、遺伝子やESTに重なると(+)、これらがない場合は、近くにあってマイナスのスコアのない場合、介在するプロモーターのあること(-)、オーバーラップする遺伝子/ESTがないこと(-)。

Mouse 185/336  Human 294/441が決定されて80%きまっている。

これらのトランスクリプトが読まれていることはH3K36me3とH3K79me2の存在で確認される。

 

図3 A. miRNAのプロモーターにES細胞転写因子Oct4, Nanog, Sox2, Tcf3が結合している。

B. ChIPの比率 C. miRNAで4者の結合しているもの D. Oct4のsiRNA誘導で発現さがる

 

図4 ES細胞が分化始めるとOct4, nanogが低下する。そこでソレクサでシークエンスをした。

MEFで増加するもの、NPCで増加するもの、ES細胞で増加するものがある。

 

図5 K4青とK27緑で比較するポリコーム抑制

5C 左側 NPCで発現おおいmiRNAはK4青がNPCで多い。ES細胞は両方

  右側  MEFで発現多いmiRNAはMEFで青が多い。ES細胞は両方 

 

図6結論 A. miRNA があると標的遺伝子の翻訳抑制に働く。 

ES細胞転写因子があると標的の翻訳抑制する。

Stat3, HesX1, Zic3, 2, Lefty1, lefty2, Nodal, AxinKlf3, Pbx3, Dnmt3a, Dnmt3b, Lats2, Wnt6a

Myc, Eras, Lin28

ポリコーム抑制があると標的は選択的に抑制される。

<神経系>Neurog1, mir9, mir124a, <外胚葉>HoxB1, Meis1, Otx1,

<中胚葉> Sox6, Meox2, mir155, <内胚葉>Onecut1, <内外胚葉>Nkx2-2, mir708, <te>Cdx2

 

補足資料

免疫沈降 5千万から1億細胞、 11%ホルムアルデヒトを1/10量加え15分処理。

Sonication  Misonix 3000  28watts 30sec 10回 90秒休止 抗体によってはSDS 0.1%にする

Dynal Protein G ビーズとover night 4℃で。あとはSI参照。

 

補足の10ページにChip-chipとChIP-seqの比較がある。

非常に一致はいい。Oct4でみるとアレーで11090サイトきまり、chip-seqと61%一致。

Chp-seqでのみ発見されたのは適切なプローブがない。

低い発現率のものはchip-chipで発見しにくい。

Oct4のモチーフはchi-seqの70%、chip-chipの45%にみられる。

 

補足の11ページに多数因子の結合の計算がのっている。