2008年4月18日

総説 ヒストンユビキチン化は遺伝子活性化のトリッガーである

ヒストンのH2AとH2Bのユビキチン化に関わる酵素が同定されている。転写開始と伸長、およびクロマチン修飾にかかわることが、このページでは H2Bを中心に解明されてきたこととを紹介します。下にある3つの図がH2B、H2Aのユビキチン化に関わる機能を示しています。

(1) ユビキチン化のメカニズム
ATP依存性のユビキチンのE1酵素での活性化、ユビキチンのE2酵素のシステインへの移転、標的タンパク質のリジンへのE3からなる。E3はしばしば C3H4RINGフィンガーモチーフを特徴とする。ポリユビキチン化されたタンパク質は26Sプロテアソームで分解される。モノユビキチン化タンパク質 は、特別の機能のタグとしてマークされる。H2Aの119番目のリジンのモノユビキチン、ubH2AH2Bの123番目のリジンのモノユビキチン、 ubH2Bが注目されている。これらモノユビキチン化は可逆的である。
(2) H2Bモノユビキチン化
Rad6は発芽酵母でみつかった最初のH2Bモノユビキチン化を担うE2である。試験管内ではポリユビキチン化も担うが、酵母内ではH2Bの123番のも のだけである。E3であるBre1に加えてもう一つのLge1が複合体を作る。そのホモログ名を挙げてある。ほ乳類では、HR6AとHR6Bがリダンダン トに作用しHR6Bノックアウトマウスは、生存可能で、オスsterileである。ヒトでBre1のホモログのE3はRNF20とRNF40があり、複合 体を作る。RNF20がH2Bユビキチンにかかわる実験結果がある。他のH2BE3候補としてはp53のネガティブレギュレーターのmdm2がある。 mdm2はコアヒストンのH2AとH2Bをユビキチン化できる。BRCA1もin vitro ではH2AとH2Bをユビキチン化するがin vivoでは不明である。
(3) H2Bの脱ユビキチン化
ユビキチンに特異的なプロテアーゼがある。酵母ではUbp8、ヒトではUSP22であり、ショウジョウバエでは、Spt-Ada-Gcn5- acetyltransferase(SAGA)複合体の一部である。SAGAを形成することが、脱ユビキチン化に必要である。ヒトでは TFTC/SATAGA複合体になる。これらは転写を活性化する。第二にプロテアーゼは酵母のUbp10でこれはSAGA複合体は必要としない。 UBP10はSir4と相互作用してサイレンシングにUbp8とUbp10は核内で別のソースのH2Bを脱ユビキチン化するらしい。
(4) 転写開始の早期ステップとユビキチン化
(5) H2BはH3k4di-tri-とH3K27のメチル化必須、FACT、伸張
(6) UbH2Bの脱ユビキチン化は転写活性の最適化に必須
(7) H2Aモノユビキチン化は抑制的
(8) H2A.Zのモノユビキチン化
(9) UbH2A脱ユビキチン化
(10) ヒストンユビキチン化とDNA修復

結論 H2Aのアウトプットは抑制、促進両方。H2Bは活性化。この2つの機能は、一般的にレシプロカルである。
(まとめ 児玉 龍彦)

Weake VM, Workman JL. Histone ubiquitination: triggering gene activity. Mol Cell. 2008 Mar 28;29(6):653-63より