2008年4月18日

パースペクティブ Gene Regulation in the Third Dimension Job Dekker Science 2008 319 1793-4

遠い染色体上にあるエレメント間の相互作用は、立体的に近くに移行することによって促進される。従来の顕微鏡による解析に加えて、ホルムアルデヒドによる クロスリンクとローカス特異的なPCRを用いた3Cによる解析で物理的接近を解析できるようになった。この2つは相補的で、顕微鏡は、1個の細胞をみられ るが解像度は低く、3Cは解像度は高いが多数の細胞を必要となする。

よくしられているのはβグロビン遺伝子である。このローカスにはいくつかの類似グロビン遺伝子があり、10?60kbの一つのシスエレメントがある。同様 の例はαグロビン遺伝子、インタロイキンクラスターでもある。匂い受容体では異なる染色体の間で相互作用がある。多数の遺伝子座の制御では、Th2サイト カイン群やインターフェロンγ遺伝子群もある。

ほ乳類のX染色体の不活性化では特異なトランス作用が働く。X染色体を2個もつメスでは、1個の大半は不活性化される。2個のX不活性化センターで相互作用が始まり、エピゲノム改変が進む。

これらのことから"制御発現ユニットregulatory expression unit"という概念が生まれている。複雑なゲノムでは微生物と異なり、遠いエレメント間の相互作用がおこるが、例えばインプリントされた遺伝子では、父 型と母型のアレルに異なるエレメントが結合する。

染色体間の相互作用は一過性である。例えばコンフォーカルで3Cから予想された結果は10%以下の細胞でしか確認できない。染色体間の相互作用は、それを 仲介するタンパク質のノックダウンで見る等が行われている。FISHによる解析はRNA合成を見るのに有力である。相互作用がなくなっても発現に変化にな い場合もある。

どのように異なるローカスが近くに移動するかについては、受動的モデルと能動的モデルがある。最近ではアクチン依存の軌道にのっておこると考えられている。さらにインシュレーターが重要であろう。