2006年11月 9日

WTAPはサイクリンA2mRNAを安定化し細胞周期のG2/M期移行を制御する

 WTAP(Wilms' tumor 1-associating protein)は、ユビキタスに発現している核内因子であり、スプライシングファクターと共局在していることが報告されていますが、生理的な機能はわかっていませんでした。
 今回我々は、siRNAを用いたノックダウン解析およびノックアウトマウスの解析でWTAPがサイクリンA2のmRNAの安定化を介して細胞周期を調節していることを示しました。
 WTAPノックダウン細胞を用いてマイクロアレイ解析を行ったところサイクリンA2 mRNAの発現量が顕著に減少し、細胞周期を調べると、G2/M期移行が阻害されてG2アレストが起こることがわかりました。 生化学的な解析から、WTAPはサイクリンA2の3'UTRにある9塩基を介してサイクリンA2mRNAを安定化しており、その欠損によりサイクリンA2 mRNAが分解され、G2アレストとなると考えられました。
 さらにWTAPノックアウトマウスがサイクリンA2ノックアウトマウスと大変類似したフェノタイプを示すことがわかりました。
Horiuchi K, Umetani M, Minami T, Okayama H, Takada S, Yamamoto M, Aburatani H, Reid PC, Housman DE, Hamakubo T, Kodama T.
Wilms' tumor 1-associating protein regulates G2/M transition through stabilization of cyclin A2 mRNA.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2006 Nov 6;


PubMed